たとえば、女性管理職比率の開示義務がある大手企業の場合、数値目標を達成しなければなりません。「うちはこういう取り組みをして、これだけの数値を出しています」と、有価証券報告書などで世の中に公表しなければならない、いわば「お尻に火が付いている」状態です。
解決しなければならない明確な理由、切迫した事情があるからこそ、企業は専任の担当者を置き、リソースを割いて本気で運用します。逆に言えば、「なんとなく良さそうだから」という程度の動機では、日々の業務に忙殺され、メンター制度は風化してしまいがちです。
【失敗例2】ランチ会と
さほど変わらない
特に社内メンター制度で頻発する失敗です。
メンターが「後輩の支援をして」と任命されたものの、スキルも目的もなく、ただ月1回ランチに行くだけになってしまうケースです。具体的な失敗談として、ある人(Aさん)が新入社員だった2007年頃の話を挙げましょう。
入社早々、Aさんは何の説明もなく上司から、今まで話したことのない先輩を紹介され、「この人がメンターだから月1回ランチに行って」と指示されました。しかし、初対面の先輩に「最近どう?」と聞かれても、まだ信頼関係もない相手に本音など言えるはずがありません。「何を話せばいいのかわからない」という探り合いの状態が続き、結局2、3回で先輩とのランチは自然消滅してしまいました。
当時としては、メンター制度が社内にあること自体が先進的でしたが、運用する側の知識やスキルが追いついていなかったのだと思います。
この失敗の根本原因は、メンターの「スキル不足」と「目的の共有がなされていなかったこと」にあります。スキルのあるメンターであれば、メンティに対して、「何のためにやるのか」「守秘義務は守られるのか」をまず最初に明確に伝えるでしょう。目的と安心感をセットで伝えなければ、本音の対話は成立しないことをよくわかっているからです。
そして、メンティの直近の悩みが2回ほどのセッションで解決したとしても、「では、中長期的なキャリアについて考えよう」「この先の目標はどうする?」などと、テーマを深掘りして対話をリードできるため、決して雑談にはなりません。
ちなみに、メンティがいやいや参加させられているケースでは、セッションの冒頭で「なぜこの場が必要なのか」を腹落ちするまで説明することが必要です。







