【失敗例3】役立つと思って
武勇伝を語ってしまう

 アドバイスのつもりが、いつの間にかメンター自身の「武勇伝」や「自慢話」になってしまう。良かれと思ってやったことが裏目に出る典型的なケースです。

 解決策は1つ。「正しいアドバイスの技術を身につけること」です。自分の経験を相手の役に立つ形に変換して伝える「言語化力」「要約力」のスキルがあれば、自慢とはならず、「知恵というギフト」として相手に届きます。

 セッションの主役はあくまでメンティです。自分の武勇伝を語りそうになったら、「主役はあくまで相手」「押し付けにならないか?」と自身に問いかける必要があります。

【失敗例4】Willハラスメントで
相手を精神的に追い詰める

 近年問題視されているのが、「Willハラスメント(ウィルハラ)」です。「あなたはどうしたい(Will)の?」という問いを重ねることで、相手を精神的に追い詰めてしまう行為です。

 個人の意志や自律を重んじる文化を持つ企業出身のメンターが、無意識に陥りやすい罠です。「答えはあなたの中にある」というコーチング的な前提で、強引にメンティの気持ちを聞き出そうとしてしまうのです。

 しかし、自分の感情を言語化するのが苦手な人にとって、心の内を執拗に掘り下げられることは苦痛でしかありません。実際、これがクレームに発展することもあります。

 相手が苦しそうであれば、無理にWillを問うのはご法度です。「漠然とした気持ちでいいので、具体的にどういう時がしんどいですか?」と聞いたり、「私の場合はこうでしたよ」と自身の経験を共有したりする「補助線」が必要です。

 メンティはジャズのように自由にセッションしたいと思っているのに、メンターがオーケストラのように型通り進めようとしてもうまくいきません。相手に合わせたチューニングが不可欠です。

【失敗例5】守秘義務違反で
信頼関係を崩壊させる

 メンティとのトラブルで最も深刻なのが、「守秘義務違反」です。これも悪意があるわけではなく、メンターが良かれと思って話したことが裏目に出るケースが大半です。実際にあった事例を紹介しましょう。