市販薬のオーバードーズが急激に広がった背景に、SNSの存在があります。違法薬物ではないため、服用を公に発信することにためらいがないのです。「誰かきょうこれからパキる(オーバードーズのスラング)人いる?」「死にたい、パキろうかな」のように声をかけたり、報告し合ったり。SNSがきっかけで「どんな薬をどの程度飲むと、どんな効果があるかを知った」という子は少なくありません。
一方で、フォロワー同士で「それ以上飲むとキケン」などと情報交換をしているおかげで、命にかかわるODは避けられているケースもあり、一概にSNSが悪いとは言えません。
依存や中毒につながる成分は
市販薬にも含まれている
市販薬にはさまざまな成分がブレンドされています。ある咳止め薬には、「塩酸メチルエフェドリン」という覚醒剤の原料になるものが使われています。もちろん市販されている薬に使われているのは微量ですから、用量を守っている分には問題ありません。しかし用量を超えて使うと耳鳴りがしたり、被害妄想が生まれたりします。また、病院の医師なら「子どもにこの成分はちょっと危ない」と判断して処方を避けるような成分が、市販薬には普通に入っていることがあります。市販薬は効き目が弱くて安全、というわけではけっしてないのです。
市販薬のオーバードーズの広がりを受けて、国は乱用のおそれのある医薬品の成分を特定し、「これらの成分が含まれる薬は原則として1人1個まで」と規制をかけていますが、その効果は疑問です。なぜならドラッグストアの数はコンビニよりも多いのです。この店で1つ、隣の店で1つと買い集めることができてしまいます。
違法薬物と違って、密売人を探して購入する必要もありませんし、使用がバレたとしても法律違反にはなりません。年齢制限のあるお酒やタバコよりもずっと心理的なハードルが低い。そのため「ちょっと多めに飲んでみようかな」と気軽に試すことができるのが実情です。
市販薬はどうして
依存につながりやすいのか
●時代遅れの危険な成分が含まれる
市販薬はさまざまな成分がミックスされています。なかには、高い依存性や身体への危険性から、医療現場では何十年も前からほとんど使用されていないような成分を含む場合もあります。
●手軽に買うことができる
日本政府は国民の高齢化に伴って増大する医療費問題への解決策として、市販薬へのアクセス向上を推し進めてきました。ドラッグストアの急増、処方箋不要で入手できる医薬品の増加、オンライン販売の規制緩和などにより、市販薬はいっそう身近になっています。
●家庭での管理が甘い
買い置きの薬や処方された薬がどのくらい残っているかを確認せず、薬箱などに入れっぱなしということはありませんか?オーバードーズを最初に試したのは家にある薬だったという子もいます。飲みたいときにすぐ手にとれる状態にしておくのは危険です。







