薬を奪ってしまうと
もっと危険な状況になることも

 オーバードーズには命の危険がつきまといます。親としては一刻も早く薬をとり上げたいものですが、あせりは禁物です。とり上げても根本的な問題は解決せず、むしろ薬ほしさに万引きをしたり、SNSでつながった相手から薬を買ったり、という事態が起こりえます。未成年の子が繁華街の一角に集まり、集団でオーバードーズをする事件もありました。とり上げたり禁止したりすることで、さらに危険な状態になるおそれがあることは考慮しなくてはいけません。

 ではどうするのか。どうしても使うのであれば、せめて本来定められた用量の範囲で薬を使ってほしいのですが、いきなりそこにはたどり着けないでしょう。まずは、「これ以上増やさない」ようにすることが大事です。そしてできるなら、少しずつ減らすことを目指しましょう。

 と言っても、どこまで減らせば安心できるのか、どんなふうに減らしていくかは専門的な知識が必要ですから、専門機関や病院などに相談しながら進めていくことが大切です。「すぐにでも本人を病院に連れて行ったほうがいいのでは」と思うかもしれませんが、本人が希望しない限り、無理強いは禁物。適切なステップにのっとった対応が求められます。まずは親が単独で相談することから始めましょう。

オーバードーズに気づいた親が
まず知るべき4つのこと

Point1 いきなり薬を奪わない
 大量の薬やその空き箱を見つけても、すぐに捨てたり子どもを責めたりしてはいけません。依存の度合いが高い子は自分の意志でやめることができないのです。「これ以上増やさない」「少しずつ飲む量を減らす」ということがスタートになります。

『「うちの子、依存症?」と気になったら知りたいことが全部のってる本』書影「うちの子、依存症?」と気になったら知りたいことが全部のってる本』(監修:松本俊彦、イラスト:ナカニシヒカル、主婦の友社)

Point2 親が大騒ぎしない
 親はあくまで冷静でいてください。ショックは大きいと思いますが、泣いたり騒いだり自分を責めたりしないことです。子どもの話が言いわけに聞こえても、「話してくれてありがとう」という姿勢で向き合いましょう。

Point3 子どもの「つらさ」に目を向ける
 薬を乱用する子どもは、快楽を求めていると誤解されがちですが、背景にあるのは生きづらさです。その子が抱えている問題やつらい気持ちをともに受け止め、その言葉に耳を傾けていくことが大切です。

Point4 親が専門機関に相談
 薬物の乱用は子どもの健康にかかわる重大な問題です。素人判断で動くのではなく、専門家の助言を受けてください。各地の精神保健福祉センターは依存症にも思春期の悩みにも専門知識が豊富な担当者がいて、相談に応じてくれます。