または先述した塩野義製薬は、23年に50歳以上かつ勤続年数5年以上の社員を対象に早期退職希望者を募集した。さらに、定年の実質廃止に着手する。同社は退職一時金の制度も廃止す
こうした動向の背景には、政府の要請もある。21年4月施行の改正高年齢者雇用安定法は、70歳までの就業機会確保を企業の努力義務に定めた。労働市場がより重視するようになったのは、年齢や性別というよりも、「実力がある人材」である。
製造業・非製造業を問わず、経験と実績のある人材に活躍してもらうことは、企業が持続的な成長をするために必要不可欠だ。最近は「人手不足倒産」という言葉が定着するほど、従業員をつなぎ留められずに事業運営に行き詰まる企業も増えている。
従業員側の事情が変わったのも大きい。健康寿命が延びたことで、就労意欲を持つシニア世代は多い。また、「公的年金だけでは退職後の生活が不安」との心理も、制度の見直しを促したといえる。
ソニー、日立製作所、帝人が導入する
フリー・エージェント制度とは
定年の見直しの他にFA制度にも注目したい。早期・希望退職に応募する人の中には、「やりたいことがある」「専門性を自由に発揮して多くの成果を得たい」と退職する人もいる。独立して元の就業先と契約して収入を得る人もいる。
社内FAの場合、自分の意思で「他部署に異動したい」と申告することから始まる。希望する部署と職種・条件が合致した場合、会社の許可を経ずに異動できる仕組みを導入する企業も増えているようだ。
この制度のメリットは、社員が自律的にキャリアを選べること。主な導入事例としては、ソニー、日立製作所、帝人などがある。定年制度を廃止して専門性を生かした業務に従事するのを認める企業も、ある意味、社内FAを重視していると解釈できる。
社外FAは、「副業・兼業制度」「社外チャレンジワーク制度」といった呼称を使うことが多いようだ。規定を設けて、社員に自社業務以外から収入を得るのを認める企業も増えている。本業を続けながら、社外の仕事にも挑戦できるのが重要なポイントである。







