東京ディズニーの舞台ウラ…嘔吐物や鳥の死骸も処理するお掃除キャスト、衝撃の時給とは?Photo:MediaNews Group/Orange County Register via Getty Images

東京ディズニーリゾートの「カストーディアル」(清掃)キャストが明かす、“夢の国”のリアルを解説します。ゲストと会話する機会が多く人気の一方で、嘔吐物の処理など特殊任務があること、社内恋愛・結婚事情など、世間にはあまり知られていない企業カルチャーも判明しました。(明治大学経営学部兼任講師 中島 恵)

“夢の国”で働く人の「職場の悩み」とは?

 東京ディズニーリゾートで、ほうきとちり取りを手に歩く「カストーディアル・キャスト」。一般には、パークを清潔に保つ清掃担当として知られています。しかし、実際の仕事は、単にごみを拾うことではないのです。

 ゲストと会話し、道案内をし、突然の嘔吐や子どものお漏らしに対応し、雨や猛暑の中でも安全を守る。いわば、パークの衛生と接客を同時に担う仕事です。

 今回、東京ディズニーランドで働くカストーディアル・キャストが取材に応じてくれました。取材から浮かび上がったのは、“夢の国”ならではのホスピタリティだけではなく、キャスト間の仕事への温度差、厳しい勤怠管理、社内恋愛・社内結婚事情、将来のキャリアへの迷いなど、どの職場にもありそうな現実でした。

 筆者は2004年から、東京ディズニーリゾートの人材育成と従業員のモチベーションについて調査してきました。約20年前と現在を比べると、キャストを取り巻く環境は大きく変化しています。一方で、変わらない部分もあります。

「ディズニー好き」ではなかったのに人気職種へ

 取材したキャスト・Aさんは、意外にもディズニー好きというわけではなく、友人に誘われてアルバイトの面接を受けたといいます。接客が好きなのでゲストとたくさん関わる仕事がしたいと希望した結果、カストーディアルに配属されました。

 これはあくまでキャスト間で言われている人気職種ランキングですが、1位がアトラクション、2位がカストーディアル、3位がショーやパレードでゲストを案内するパークゲストサービスだそうです。

 なぜカストーディアルが人気かというと、ゲストと会話する機会が多いことと、ひとつの施設にとどまらず広いエリアを歩けることなど。Aさんはランドの約3分の1に相当するエリアを担当しています。

 カストーディアルの時給は、飲食やショップのキャストより低く、1390円スタートです。人気の職種なので賃金を上げなくても人が集まりやすい構図は、労働市場の原理そのものです。※ディズニーキャストの職種別時給一覧は画像を参照

嘔吐物、排泄物、鳥の死骸も処理する

 Aさんによるとゲストからは見えにくい業務が汚物の処理です。嘔吐物、子どものお漏らし、鳥の死骸、トイレの汚れなどに対応します。

 嘔吐物は、専用の処理剤とペーパーを使い、「トイブルーム」と呼ばれるほうきと、「ダストパン」と呼ばれるちり取りで回収。最後に除菌剤をかけ、使用した道具も薬剤と水で洗浄します。

 嘔吐物、排泄物、動物の死骸は感染性廃棄物として専用のごみ箱に捨て、上司へ報告します。担当したキャスト自身も、手洗いとうがいを徹底しているそうです。

 エリア全体で1日に何度もこうした汚物対応が発生し、業務イヤホンで「どなたか対応できませんか」と連絡が入り、行ける人が処理します。ただし、全員が積極的に手を挙げるわけではありません。