「連絡が入っても押し黙って、誰かが返事をするのを待つキャストもいます」とAさん。仕事への意欲がある人だけが残り、意欲の低い人はいつの間にか辞めていることもあるそうです。

「一部の外国人ゲストには、ポイ捨てというよりも、食べ終えたものを片付けず、ベンチなどに置いたまま帰る人がいます。その場合は、カストーディアルが片付けるしかありません」

 ディズニーキャストと聞くと、ヤル気がみなぎる人ばかりだと想像しがちです。が、実際は普通の職場と同じ、意欲が高い人もいれば普通の人、低い人もいます。これは、2004年から変わっていないようです。

ゲストの前で給水、キリンへの忖度なしでOK

 一方で近年、大きく変わったのが暑さ対策です。キャストがゲストの前で給水することが認められるようになりました。キャストの健康を守るだけでなく、その姿をゲストに見せることで、ゲストにも水分補給を促す狙いがあるそうです。

 以前は、ペットボトルのメーカー名が見えないようにシールを貼っていましたが、現在はそのままでOKとのこと。昔からパークではキリンビール/キリンビバレッジがスポンサーを務めていますが、“大人の事情”よりも現場の健康を優先できるようになったのです。持ち場によっては日傘の仕様もOKになりました。

キャストの労災防止に上司の指示・指導は?

 キャストの安全管理も細かく規定されています。例えば、キャストは扉を開ける前には必ずノックし、階段では手すりを持ってゆっくり移動します。朝礼やKYT(危険予知トレーニング)では、その月の重点項目を確認します。骨折や指の挟み込み、カートの接触といった労災を防止するための注意も上司に口酸っぱく言われるそうです。

 背景には、人手不足もあると筆者は考えています。労働人口が減る中で、人気のディズニーとて昔ほどアルバイトは集まりません。キャストの安全を守ることは、パーク運営を守ることにもつながります。

ピアスや男性の長髪も認められたが、完全に自由ではない

 ディズニーキャストの身だしなみを「ディズニールック」と言い、その基準も変化しています。髪色、男性の長髪、ピアス、ネイルは以前より認められる範囲が広がりました。

 しかし、何でも自由になったわけではありません。Aさんによると実際は、派手だと上司から直すよう求められ、その日の勤務を認められないことまであるそうです。

「髪色が明るいことを理由に、舞浜まで来たのに帰るように命じられたキャストを見ました。勤務できなければ、その日の給料を得られません」

 勤務前の朝礼では、キャスト同士で爪の長さ、ひげ、髪色などをチェックします。ネイルはコスチュームの色に合うことが条件。多様性を認めながらも、パークとしての統一感を維持するためだそうです。