バイトから正社員になりたい場合はどうする?

 学生バイトが多いディズニーですが、将来についてベテランバイトはよく学生に、「一度はほかの仕事を経験してから、ディズニーに戻るかを決めたほうが絶対いい」とアドバイスするそうです。ディズニーで長く働くほど、ほかの職場へ移りにくくなる。アルバイトで高収入ではないため、別の会社に正社員として就職すべし、と勧めるとか。

 東京ディズニーでアルバイトから正社員になりたい場合、TO(テーマパーク・オペレーション)社員を目指し、さらにSV(スーパーバイザー)職へ進む道があります。社内募集に応募し、勤務状況、面接、SPI検査、筆記試験などを経て選考されます。

 Aさんは、ある競技で中学時代は県選抜として活躍したほどスポーツが得意です。キャストの仕事は、スポーツと共通点が多いといいます。全体を見渡せる広い視野が必要で、上司(TOやSV)の指示を瞬時に的確に理解し、行動に移す。現場仕事は体力も必要なので、体育会系の人はその経験や能力を活かせる仕事だといいます。

「夢の国」を支えているのは、地道な労働

 カストーディアルの魅力は、ゲストと会話し、広いパークを歩きながら、自分で状況を見つけて対応することにあります。ときには嘔吐物を処理し、雨や猛暑にも耐え忍ぶ。ただし、来園者数が予想より少なければ、「解消」と呼ばれる運用で予定より早く退勤させられることもあります。

 最近の大きな話題といえば、パークチケットの値上げ。10月からワンデーパスポートが最高1万2400円になります。「高いと思う」とAさん。現状は、高校の制服を着ている若いゲストも多く、限定グッズの発売日には熱心なファンが早朝から並んでいるといいます。

 ディズニーリゾートの魅力は、何といっても非日常の世界観にあるでしょう。それを支えているのは、極めて日常的で地道な労働です。キャストから生々しい話を聞くほど、夢の国ではないことがわかります。

 取材で見えたのは、東京ディズニーが特殊な企業であると同時に、普通の職場でもあるという事実でした。魔法のようなサービスは、目立たない仕事を引き受けるキャストが居てこそ実現しているのです。

※本稿は、現役カストーディアル・キャストへの取材を基に構成しています。勤務上の運用や職場に関する記述には、取材対象者の経験および見解が含まれます。