実地調査で被相続人の自宅などを訪れた際、調査官が意外にも目を配るのは金融機関のカレンダーやタオル、メモ帳といった、いわゆる「ノベルティー」です。
銀行や証券会社は、預けている金額に応じてお中元・お歳暮のランクを変えることが多く、家の中に置いてあるノベルティーの種類から、どの金融機関とどの程度の付き合いがあったかが推測できます。トイレや台所にまで目を向けるのも、こうした証拠を掴むためです。
――なるほど、ではノベルティー以外にも意外な相続税の不正申告となる証拠もあるのでしょうか。
ノベルティーがなくても、手がかりはもちろんあります。例として被相続人が生前使っていたメモ帳や手帳です。数字と名前だけが書かれたメモや、証券会社の頭文字らしきアルファベットが記されたメモが見つかることがある。
そこから「誰に、どのくらい渡したのか」「どの証券会社に口座を持っていたのか」を推測していくことが可能です。暗号の解読ですね。ただし、こうした引き出しの中身を見るには家族の承諾が必要で、無断で開けることは一切ありません。
隠されていた現金
見つかる場所はクッションの中からトイレまで
――実地調査の結果、隠されていた現金が見つかった場合、どのような場所に隠されていましたか。ぜひ教えてください。
よくあるのは押し入れやタンスの奥ですが、それだけではありません。たとえばタワーマンションにお住まいだったご家庭では、リビングソファに置かれた四角いクッションの中から、ジップロックに入れられた札束が見つかったことがあります。
座っていると「違和感がある」とは感じるはずなのですが、まさか中に現金が入っているとは誰も思いませんから、長い間気づかれずにいたのでしょう。
タワーマンションは住民以外がフロアに立ち入れない構造になっていることが多く、セキュリティーが強固な分、「ここなら誰にも見つからない」という安心感から、リビングやベッドルームなどに隠される傾向があります。
古典的な隠し方としては畳の下に現金を敷き詰めていたケースや、トイレのタンクの中にビニール袋に入れた現金が入っていたケースもありました。さらに、開かずの金庫が出てくることもあります。
鍵の在りかが分からず、ご家族も「何が入っているか分からない」とおっしゃるので、業者を呼んで開けてもらうのですが、中から現金や金地金が出てくることもありましたね。金庫は空っぽということもあります。







