「病気」をいかに扱うか…朝ドラゆえの“思いやり”に変化が起きた?〈風、薫る第125回〉

「看護婦モード」から痴話げんかへ:シマケンとりんがぶつけ合う本音

 文史朗は懸命に叔父の看護を手伝う。

「いい子ですね」とりんはシマケンに伝える。

りん「急なことで驚かれましたよね。何かしてほしいことがあれば、何でもおっしゃってください」
シマケン「ありがとう」

 りんはお互いを知る間柄ではなく「看護婦モード」で接しており、普段のりんとシマケンとの態度とは違う。距離をとり、丁寧だ。

 だが皮肉なことに、これまでのふたりの時間のなかで、いまが一番、お互いを深く感じているのではないだろうか。

 帝都医大病院から藤田(坂口涼太郎)が往診に呼ばれる。胃がんの権威だから最強。もしかして手術も彼にしてもらったのだろうか。

 術後の影響もあると思うが、急性胃腸カタルという診断。

 さらに、虎太郎(小林虎之介)がいい薬をもってくる。

「島田さん、あんた努力し過ぎだ」

 以前はシマケンに「努力していない」となじった虎太郎だったが、ここへ来て、彼の生きる努力を認めた。

 藤田はりんにシマケンを託す。「今後の経過によっては、命にかかわる場合もあるかもしれない。とにかく水分を取らせて。あんな手術を乗り越えたんだ。ここで命を落とすわけにはいかない」

「頑張れ」と虎太郎も応援。

 ひたすら、看護するりん。

「シマケンさん、頑張ってください」
「がんばってる」(弱々しい声で)
「そうですよね。もう十分頑張ってますよね」

 頑張っている人に「頑張って」と言わないというのは、現在、定説になっている。相手の頑張りをまず、認めることが大事とされるからだ。

 だが、虎太郎もりんも「頑張って」と言う。頑張っているのはわかったうえで、さらに、頑張って生きてほしい一心なのだ。

 ここから、シマケンとりんが本音を語りあう。

「なんで?(実家のある浜松に)来てほしかった。一緒につれていきたかった。離したくなかった、手を」

「なんでは私の方です。なんで言ってくれなかったんですか? 言ってくれたら。言葉が足りないよ、シマケンさんいつも。いろんな言葉を知ってるはずなのに。大事なことはちっとも。なのにいま。ずるい」

「ずるい」「なんでいまさら」

 冷静な看護から痴話げんかのようになっていく。

「あの時、意地張ったんだから。意地を張り切ってよ。張り切って生きてよ。文史朗さんのために生きて。頑張ってもっと頑張って生きて。生きてください」