トランプ配当に正当性はあるか?
このトランプ配当案には早速、民主党だけでなく、共和党内の保守派からも批判や懸念が相次いでいる。
「社会主義的な票の買収策であり、財政面への打撃も大きい」(共和党元下院議員のボブ・グッド氏)、「政府による給付は民衆の依存心を高める」(共和党のチップ・ロイ下院議員)などと早々に糾弾された。トランプ氏の主張を支持する議員もいるにはいるが、現時点でその数は多くないようだ。財政悪化に加えて、インフレ懸念を押し上げるとの指摘も見逃せない。
そもそも、このやり方は合法なのだろうか。トランプ氏は「共和党が選挙に勝つこと」を条件に掲げた。これは、投票を誘導するための支出(買収・有権者買収)を禁止する、合衆国法典第18編第597条(18 U.S.C. § 597)に違反するとの指摘は多い。
また、政府が国民に対して行う給付策は、議会の予算承認を必要とする。トランプ氏の一存でできるわけではない。
米国の長期金利は財政悪化を織り込む
米国の長期金利の上昇は加速している。トランプ氏からは、健全な連邦財政を目指す発想がないように見える。ある経済専門家は、「トランプ氏は打ち出の小づちのように連邦財政を利用でき、財源に上限なしと考えているのかもしれない」と懸念する。
非党派・公式機関である議会予算局(CBO)の報告から、トランプ氏の考えの一端を伺い知ることができる。2月の予算・経済の見通しの中で、CBOは厳しい見通しを示した。過去50年間、米国の財政赤字は平均でGDP比3.8%だった。
それに対して、トランプ政権下の2026会計年度はGDP比5.8%に急増する見通しだ。GDP比で見た連邦債務の残高は、2030年度に107.7%に達する予想もある。これは第2次世界大戦直後(1946年)の106.1%を上回る。
米国の長期金利は、連邦財政の急速な悪化を織り込み始めている。米財務省は異例の手段を打ち出した。そのひとつが、国債買い入れ消却(バイバック)の拡大だ。







