例えばレクサスLBXはセンターピラーに2000MPa材を採用している。新型マツダCX-5も、日本製鉄と共同開発した2.0GPa(2000MPa)級のホットスタンプ鋼板を、世界で初めてフロントバンパーレインフォースに採用した。
同じ軽EVの日産サクラはどうか。バッテリーを守り、衝突安全性を確保するため高張力鋼板を大幅に増やしている。技術資料では「980MPa級以上の高張力鋼板・ホットスタンプ材の使用比率を、ベースとなったデイズの16%から28%へ増加させた」としている。少なくとも公表されている資料を見る限り、2000MPa級材の採用は確認できない。
だからラッコがサクラより頑丈だとか、LBXやCX-5と同等だという話では勿論ない。鋼板の引っ張り強度と完成車のボディ剛性、ましてや衝突安全性能はイコールではない。それでもレクサスや最新のCX-5が衝突時に大きな荷重を受ける重要部位に投入するクラスの鋼材を、日本専用の軽EVのフロアクロスメンバーに使ってきた事実は大きい。「軽なんだし、まあこんなもんよね……」という妥協が一切ない。
X-PACKで凝縮するEVパッケージ
さらにラッコは、軽自動車という限られた空間にEVの構成要素を収めるため、「X-PACK」と呼ばれる集積技術も採用している。
EVはエンジンがないから室内を広く取れる。それは事実だが、話はそれほど単純ではない。モーターがあり、インバーターがあり、車載充電器があり、DC-DCコンバーターがあり、高電圧系の制御機器もある。そして何より巨大な駆動用バッテリーがある(大きくて重いんですよコレが)。全長全幅に逃げ場のない軽自動車規格の中にそれらを押し込み、更に人間と荷物のための空間も確保しなければならない。
そこでBYDは各種の電装・制御機器を高密度にまとめる作戦に出た。
既存の小型EVをそのまま縮めたのではなく、軽規格という特殊な箱に合わせてEVのパッケージそのものを組み直したのだ。







