半世紀前から続く「闇」?
過去にも認めた14の不正
この元設計者の主張を東芝も中部電力も否定。翌月になると、浜岡原発の運転差し止めを求める市民団体が、この告発内容を訴訟の準備書面にも採用したが、中電は「地盤の安定性について理解してもらえるよう主張していく」(朝日新聞静岡版2005年5月21日)として、あくまで立地の岩盤は強く、耐震性に関しても十分に余裕をもって計算しているという姿勢を貫いた。結果、静岡地裁はこの請求を棄却。元設計者の主張も含めて、浜岡原発の安全性に問題があるという指摘はいずれも採用されなかった。
興味深いのはそれからほどなくした2006年10月、中国電力でデータ改ざんが発覚したことを受けて、すべての電力会社に指示された「発電設備総点検」だ(2007年5月18日 電気事業連合会)。
中部電力もご多分に漏れず、総点検をしたところ過去の不正が見つかった。2007年5月に以下のように公表している。
《国からの指示に基づき、社員・社員の退職者・協力会社の社員を対象に聴き取り調査などをおこなった結果、浜岡原子力発電所においては、過去にデータ改ざんなど14件の不適切な事案があったことを確認しました。(火力、水力も含めると、中部電力全体で40件)データ改ざんなどの不適切な事案は2002年度以前におこなったものであり、現在は全て是正され、継続的におこなわれているものはありませんでした》(2007年5月18日 中部電力ホームページ 過去の「事故・故障など」に関連する情報)
話をまとめよう。浜岡原発は設計段階からデータ改ざんがあったという告発があったが中電は否定。しかし、それからほどなくして2002年までの間にデータ改ざんなどの不正が14件あったことが発覚、これは中電自身も認めている。そして、今回のデータ改ざんも外部の弁護士によれば、「遅くとも2012年以降」から繰り返されているという。
営業運転開始から50年、これだけの問題が「表面化」してきたのだ。これまで見てきた「不正に寛容な組織風土」を見ても、「バレていないだけのデータ改ざん」がまだまだあるのではないか、とつい勘繰ってしまわないか。
中部電力という組織の「闇の深さ」に引いている人も多いだろうが、そこで次に気になるのは、名古屋財界の名門で多くの優秀な人材を採用しているはずのこの組織が、なぜこんな「無法地帯」のようになってしまうのかということだ。
報道対策アドバイザーとして、ガバナンス不全に陥った組織の内部も見てきた経験から言わせていただくと、日本型組織の典型的な「病」のひとつである「員数主義」に毒された結果だと見ている。
これはわかりやすく言えば「組織が求める数を合わせることがすべてにおいて優先される価値観」であり、「空気の研究」で知られる評論家・山本七平氏によれば敗戦後、多くの日本軍関係者が、この「員数主義」こそが、日本の敗因だった指摘したという。その理由は、山本氏の「一下級将校の見た帝国陸軍」(文藝春秋)を読めば明らかだ。







