それは、上司や組織・人事が自社を「辞めない」ことを前提としてコミュニケーションをしているからではないか。
以下は筆者がマネジャーにヒアリングした際に耳にする代表的な声である。
「うちのメンバーは特に不満も言ってこないので、みなこの職場に満足してくれていると思っていました。だから、突然『辞めたいです』と言う若手が2人続いてしまって、本当に驚きました」
「確かに、転職が一般的になっているのに、このままうちにずっといることを前提に面談をしますよね。『課長になったとき、この会社でしたい仕事は何ですか?』『10年後どの部署で働きたいですか?』とかよく聞きますし」
「『嫌だ、ストレスだ』と感じることがないか。これを確認し、『なければまずは問題なし』という考えで面談をしています」
「辞めるほどの、よほどのことがあったときには言ってくるだろう」というある意味、受け身の姿勢でした。1on1でもいま困っていることややってみたい仕事、といった直接的な業務に関することは話しますが、あまり踏み込めていなかったと言えばそうなりますね」
なぜその仕事をするのか、なぜこの会社を辞めないのか。これらが決して自明ではなくなった社会で、職場でのコミュニケーションにおいて「辞めない」「この仕事を続ける」ことが前提になっていないか。
何の仕事をしたいか、どこで働きたいか、どう働きたいか、いつ働きたいか、といったことは何度も何度も人事や上司が問うなかで、唯一、「なぜ辞めないのか」という「Why」の問いが欠けているのだ。
本書より転載







