求められる組織の
ありかたとは
ここまで確認してきた内容(図表16)をふまえた結論を先に記せば、筆者はここまで見てきたような社会の変化のなかで、以下のような組織が求められるようになると考えている。
◎「辞める理由」をなくすのではなく、「辞めない理由」を増やす
若手の退職が増えた結果として「辞める理由」を調査し、それをなくすことに躍起になっていないか。しかし、「辞める理由」をなくした“無色透明な会社”はあなたの会社でいま活躍している人にとって、魅力的な組織なのか。むしろ結果として、自社の「辞めない理由」もなくなっていないか。
◎「辞めない理由」を開発する
「辞めない理由」には大きな広がりがある。経済的安定をベースとしつつ、自社が何を加えられるのか。自社でいま活躍している中核人材への聞き取りや、キャリアパスの特徴、やりがいを感じている職務の分析などを通じて、自社ならではの「辞めない理由」を開発することができる。
『あの若手はどうして辞めないのか』(古屋星斗、朝日新聞出版)
◎「辞めない理由」の予見可能性を高める
安定、人との関係、仕事の経験などといった「辞めない理由」になりうる要素を認識できるよう蓄積できているか。また、せっかく「辞めない理由」になりそうな機会が近い将来に設定されていたとしても、それが予見されなければ離職を防ぐことはできない。
いずれにせよ、伝えたいことは「辞めた人」の「辞めた理由」ではなく、「いま頑張っている人」の「辞めない理由」に注目すべきではないかという点である。
この話を聞いた、ある企業の営業責任者の方が「営業チームでも失注分析は盛んにするが、受注分析はあまりしないのに似ていますね」と言っていた。人には「逃がした魚は大きい」が、手元にあるものについてはありがたさを感じられない「釣った魚にエサをやらない」という、普遍的な性質があるのかもしれない。







