業績、株価、賃金、就職… 5年後の業界地図 AI格差で序列激変!?#22Photo:fotograzia/gettyimages

AI向け需要の加速という強い追い風を受けている電子部品セクター。第1四半期決算時に村田製作所やイビデンが通期予想を上方修正するなど、業績も株価も堅調な企業が目立つ。特集『業績、株価、賃金、就職… 5年後の業界地図』の#22では、5期先利益が飛躍すると見込まれている村田製作所やイビデンの強さの秘密を分析するほか、TDKやミネベアミツミなど注目企業の戦略を分析。中堅企業を含め、5年後に躍進する企業、失速しかねない企業についても具体名を挙げて紹介する。また、AI覇権がどう転んでも日本の電子部品メーカーが「いいポジション」にいる理由についても解説する。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

AI向けの最先端製品の需要が拡大
日本企業の底力が評価される局面

 半導体関連と並び、注目度が高まってきている電子部品セクター。株価も主要企業の多くがTOPIX(東証株価指数)を大きく上回って推移しているが、この勢いは継続するのか。

 細かいことを言うと、電子部品は東証33業種分類では電気機器セクターのサブセクターである。電気機器セクターはTOPIXを上回って推移しているものの、銀行や海運などと異なり、「全面高」とはなっていない。

 では、なぜ明暗が分かれているのか。端的に言えば、AI向けの投資拡大の恩恵を受けているかどうかである。電気機器セクターの中でも、電子部品はAI向けの恩恵が大きいサブセクターなのだ。

 電子部品セクターの株価が急騰したきっかけは、2026年初に米アルファベットなどハイパースケーラーの投資拡大が明確化したことだ。また、生成AIからAIエージェントへ移行する流れが加速したことで、次の段階にAIが進化するという期待も高まった。

 株価だけでなく、業績も加速している。村田製作所やイビデンは第1四半期決算という早い段階で通期予想を大幅に上方修正した。

 岡三証券の西村美香アナリストは電子部品セクターについて強気な見方をしている。AIにおいての電子部品の重要度は高く、中長期でAIインフラに関わる企業への恩恵が続くとみているからだ。

 また、AI需要が想定を上回るペースで急拡大したため、各社の生産能力増強が追い付いていないことも、足元の需給逼迫につながっている。

「AI関連分野を中心に需給が引き締まっており、一部製品では価格改善の動きも見られる。最先端製品の重要度が高まる中、日本企業が培ってきた技術力が評価される局面にある。高付加価値製品の拡大を背景に、当面収益性の改善が続くとみている」(西村氏)

 東海東京インテリジェンス・ラボの清田涼輔アナリストも今後の電子部品セクターは「AI向け」がけん引すると分析する。

「従来、電子部品はスマートフォンや自動車向けが中心だったが、AI向けがけん引役になってきている。象徴的なのが、村田製作所が本決算のタイミングで初めてデータセンター向けの売上収益を開示したことだ。26年3月期は73.9%増加、27年3月期計画でも109.7%増加すると見込んでいる」(清田氏)

 とはいえ、電子部品の中にも相対的にAI投資の恩恵を享受できていない銘柄群はある。また、歴史的にも電子部品は業績の変動幅が大きいセクターだ。

 優良企業が多い電子部品メーカーではあるが、今後5年は大変革の時代になる。AI対応を含めて独自の強みを持たない企業にとっては厳しい時代に突入する可能性がある。

 果たして、日本の電子部品メーカーは今後も世界で存在感を発揮して、業績を中長期で伸ばすことができるのか。詳しくは後述するが、電子部品は黒子的な存在だけに、AIがどんな形で発展しても、業績を伸ばしやすい有利な立ち位置にいる。

 次ページでは、AI拡大を裏側で支える電子部品セクターの注目点や、業界が抱える課題について紹介。飛躍が期待できる企業、このままでは厳しい企業についても具体名を挙げて解説する。

図表:5年後の電子部品業界(サンプル)