2027年度予算は利払い費増で
財政赤字拡大の「悪循環」が見える予算に
これまで、国債残高が増えても平均金利が低下したため、利払い費の増加が抑えられた。しかし、いま、このための条件が失われつつあるのだ。
長期金利が上昇すれば、新規国債や借り換え国債の金利が上がる。時間の経過とともに政府債務全体の平均金利が上昇し、利払い費が増える。
他の条件が同じなら、財政赤字は拡大する。追加的な国債発行が必要になり、財政の持続可能性に対する市場の警戒が強まれば、投資家がより高い利回りを要求するようになる。
つまり、「金利上昇→利払い費増加→財政赤字拡大→国債発行増加→財政リスクへの警戒→金利上昇」という循環が生じる可能性がある。
もっとも、これは必ず起こることではない。成長率、税収、基礎的財政収支、インフレ率などによって、事態は大きく左右される。
この点は、前回の本コラム「国債費は1年で『5兆円』増加!? 2027年度予算編成で“顕在化”する財政の金利上昇リスク」(2026年10月8日付)で指摘した「ドーマー条件」とも密接に関係する。
政府債務の平均名目金利をi、名目GDP成長率をgとすれば、基礎的財政収支(PB)が均衡している場合、iがgを下回っている間は債務GDP比を低下させやすい。反対にiがgを上回れば、債務比率には上昇圧力が加わる。さらに基礎的財政収支が赤字であれば、その圧力は強まる。
これまでの日本では、超低金利によってiが非常に低く抑えられてきた。その特殊な条件が、いま失われつつあるのだ。
財政政策を考える前提が変わる
減税するなら財源と将来の利払い費同時に検討を
こうした状況になると、財政政策を考える前提も変わる。
第一に、国債を発行しても利払い負担はほとんど増えないという超低金利時代の前提を、将来に延長することが難しくなる。
第二に、歳出拡大や減税を行う場合には、その財源と将来の利払い負担を同時に考える必要が強まる。大規模な恒久減税を国債で賄えば、歳入減そのものに加えて、将来の利払い費増加も財政収支に影響する。
第三に、財政状態を見る際には、基礎的財政収支だけでなく、利払いを含む政府全体の財政収支を見ることが重要になる。
PBが改善していても、金利上昇による利払い費の増加がそれを上回れば、財政全体の収支は改善しない可能性があるからだ。
さらに重要なのは、第四に財政負担の増加と金融政策を混同しないことだ。
インフレ抑制のために金利引き上げが必要な局面で、政府の利払い負担を理由として中央銀行が低金利維持を求められるようになれば、金融政策の独立性を巡る「財政従属(Fiscal Dominance)」の問題が生じる。
日本はこれまで財政赤字も金利上昇も経験してきた。しかし、1000兆円を大きく超える普通国債残高を抱えた下で、長期金利が本格的に上昇するという局面は、経験していない。こうした歴史的転換期にある中で消費税の減税を行うことの無謀さを、いま一度認識すべきだ。
(一橋大学名誉教授 野口悠紀雄)







