態度の悪いドライバーが
業界で生き残っているワケ

 なお、法人タクシーではクレームが入ったドライバーに対し、接客研修や同乗指導、面談、再教育などを行うことがある。悪質な場合は、乗務停止や配置転換などの処分につながることもある。

 しかし、態度の悪いドライバーがクビになるとは限らず、業界で生き残っている人も多い。

 その背景には、タクシー業界の人手不足がある。ドライバーが足りない状況下では、会社が多少の問題には目をつぶることもしばしばだ。たとえ態度に難があっても、客を拾うノウハウに優れ、売り上げのいいドライバーには強く注意しにくい側面もある。

 研修の効果にも差がある。研修のときだけ愛想がよくなり、街に出れば元に戻ってしまう人もいる。制度を整えることは必要だが、最後は本人が乗客から信頼される仕事をしようと思えるかどうかにかかっている。

 では、乗客はどうすればハズレドライバーを事前に見抜き、利用を避けることができるのか。

ハズレ運転手を避けるために
乗客ができること

 あくまで私が現場で感じた傾向であり、当てはまる人がみんなハズレだと言うつもりはないが、「車内の環境や服装が乱れている人」は接客も雑になりがちだ。

 ダッシュボードに物が散らかっている。シートが汚れている。シャツがだらしなくズボンからはみ出している。車内を遠目で見た際に、そうした様子が重なれば、少し身構えてもいいかもしれない。

 一方、車種だけでドライバーの接客態度を判断するのは難しい。新しい車に乗っているから接客が良いとも限らないし、古い車だから態度が悪いとも限らない。

 法人か個人かも同じだ。「個人タクシーは態度の悪い人が多い」と乗客から聞くことがある。だが、私の実感では、個人だから態度が悪いとは言い切れない。法人にも態度の悪い人はいる。

 両者の違いは、組織的なマネジメントの有無とサービスの自由度にある。法人タクシーでは、会社が接客のルールを定め、違反したドライバーに指導が入るのは先述の通りだ。

 一方、個人タクシーは、サービスの多くを自分で設計できる。おしぼりや飴を用意するなど独自の工夫ができる反面、組織として統一されたルールがあるわけではない。教育係や指導係も存在しないが、ドライバーの努力次第では「法人タクシーよりもサービスが手厚い」と乗客に喜んでもらえることもある。

 だからこそ、乗客が見るべきなのは、車種や法人・個人の違いよりも、車内が清潔に保たれているか、身だしなみをきちんと整えているかという点だろう。