すると、「自分も厳しく育てられたのだから、お前も耐えるべきだ」という考え方になりやすく、過去に受けた指導を無意識のうちに繰り返してしまうのです。
日本企業では、優秀なプレイヤーが管理職になるケースが多々あります。しかし、優秀なプレイヤーであることと、人を育てる能力があることは必ずしも一致しません。管理職としての必要なコミュニケーションやコーチングアプローチを十分に学ばないまま部下を持つと、自分と同じやり方を押し付けたり、できない部下に強い苛立ちを感じたりすることがあります。
さらに、管理職自身が孤立していることも少なくありません。中間管理職は、部下には本音を言えず、自分の上司にも相談しづらい立場です。ストレスや不安のはけ口を持てないまま働き続けることで、感情をコントロールできなくなり、その矛先がもっとも身近な部下へ向いてしまうこともあります。
つまり、クラッシャー上司は「本人の性格」だけで生まれるものではなく、成果主義、管理職教育の不足、そして相談できない組織風土など、さまざまな要因が重なって生み出される組織の問題でもあるのです。
クラッシャー上司の矛先が
立場の弱い部下に向かう背景
心理学者のアルバート・バンデューラは「社会的学習理論」の中で、人は自分が経験した行動を学習し、無意識のうちに再現する、と説明しています。若い頃に厳しい叱責や人格否定を受けながら育った人は、それが「正しい指導方法」だと学習してしまい、自分が管理職になったとき、同じやり方を繰り返してしまうのです。
また、心理学者ジョン・ドラードとニール・E・ミラーは「欲求不満―攻撃仮説」において人は強いストレスや欲求不満を感じると、その感情をどこかへ向けようとする、と説明しています。
もし、クラッシャー上司が、会社の方針や経営層に反感を持ちつつもそこへ反発することが難しいため、立場の弱い部下へ怒りを向けることがあれば、この仮説に則して動いていることになります。







