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連載『ビジネスパーソンに必須!経済&ビジネスの最重要キーワード』の今回のキーワードは「基調的な物価上昇率」です。日本銀行の植田和男総裁は、この指標が目標の2%にかなり近づいていると発言しました。しかし、通常公表される消費者物価指数の上昇率は鈍化しています。この食い違いはなぜ生じるのでしょうか。日銀の判断を五つのグラフから検証します。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
消費者物価指数の上昇率は鈍化しているのに
日銀総裁が「2%にかなり接近」と発言
今回のキーワードは「基調的な物価上昇率」です。
10月19日、参議院予算委員会で日本銀行の植田和男総裁は、基調的な物価上昇率について「徐々に高まっており2%にかなり近づいている」と語りました。そして、「2%程度の水準に安定させていくという観点がより重要な局面になっていく」と付け加えました。
その3日前の16日、タイ・バンコクで開かれたG20(20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見では、基調的な物価上昇率について「これ以上上がるということは容認できない」とも述べています。
日銀はこれまで、基調的な物価上昇率が目標の2%に達していないことを、緩和的な金融環境を維持する理由の一つとしてきました。
しかし、植田総裁の一連の発言は、基調的な物価上昇率がいよいよ2%に接近し、今後は2%を超えて上振れることを防ぐ必要性が高まっていることを示しています。
では、基調的な物価上昇率とは何なのでしょうか。
簡単にいえば、原油価格や生鮮食品価格の変動など、一時的な要因の影響を取り除いた、持続的な物価上昇の勢いを示す概念です。ただし、基調的な物価上昇率を直接示す単一の統計指標はありません。
日銀は、刈込平均値や加重中央値などの物価指標、家計・企業・専門家の予想物価上昇率、経済モデルによる推計値などを用い、賃金や労働需給の動向も踏まえて総合的に判断しているとしています。
では、その判断材料となる物価指標を見てみましょう。
最初に取り上げるのは、通常の消費者物価指数です。下図は、生鮮食品を除く総合、生鮮食品とエネルギーを除く総合、食料(酒類を除く)とエネルギーを除く総合の三つについて、前年同月比の上昇率を示したものです。
グラフを見ると、2026年に入って物価上昇率は鈍化し、2%を下回る動きが見られます。基調的な物価上昇率が2%に近づいているという日銀の説明とは、一見すると矛盾するように思えます。
この背景の一つには、政府による物価高対策があります。政府はガソリン価格や電気・ガス料金などに対する補助金を通じて、家計が負担する価格を抑えています。こうした政策は、消費者物価指数の上昇率を押し下げる要因となります。
もちろん、補助金以外の要因によって物価上昇率が鈍化することもあります。従って、これらの指数だけを見ても、持続的な物価上昇の勢いを正確に判断することはできません。
では、日銀は何を根拠に、基調的な物価上昇率が2%に近づいていると判断しているのでしょうか。
次ページでは、日銀が公表しているさまざまな物価指標を検証します。








