最高速度時速285キロ、東京~新大阪間を最短2時間21分で結ぶ「のぞみ」だが、常に全速力で走っているわけではない。むしろ十分な余裕時間を確保しており、数分程度の遅れであれば終着駅までに回復できる。

 そうしたダイヤにおいて、発車後に最高速度まで加速し、その後は流すような運転をしてはエネルギー効率が悪い。そこで、ATOは効率的な加速操作や惰行を取り入れた運転速度を設定し、省エネ運転を行う。走行中、臨時の速度制限や遅延が発生した場合は、即座に運転速度を変更し、回復運転を行う。

(1)A駅発車時(2)駅間で急きょの徐行が発生した場合JR東海プレスリリースより抜粋 拡大画像表示

 これを可能にしたのが2021年から整備を開始した「ミリ波方式列車無線」だ。従来の列車無線は同軸漏洩ケーブル(電波が漏れ出るケーブル)を使用していたが、新方式はミリ波帯(40GHz帯)を用いることで、高速・大容量通信が可能となる。

 列車無線としては2027年1月から使用を開始するが、2030年度末には運行管理システム(コムトラック)からの運転情報を車上に伝送可能になる。これにより列車単体ではなく、路線全体のダイヤ情報をふまえた運転曲線を作成できる。

 気が早い話だが、GOA2の次はどうなるのだろうか。建設中のリニア中央新幹線は地上制御式であり、運転士の概念がない。JR東日本は2029年度以降、回送列車のGOA4(完全無人運転)導入を予定している。JR東海に展望を聞くと、「安全で正確な輸送を提供するためには、現時点では運転士の配置が必要」とした上で「本線列車のドライバレス(GOA3)や短回送列車のドライバレス(GOA4)につながる技術については、引き続き勉強していく」と述べた。

 ミリ波方式列車無線は安全性向上にも寄与する。地震発生時に列車を自動停止させる「早期地震検知システム」は現在、沿線地震計が地震波を検知すると送電を停止し、停電を検知した車両が自動的にブレーキをかける仕組みだ。

 これをS0系では、地震検知を直接ミリ波で伝送することで即座にブレーキが作動。検知からブレーキ開始までの時間は、2秒から0.2秒へ、10分の1程度に短縮される。新システムはS0系が登場する2029年以降、使用を開始し、現行のN700Sにも搭載予定だ。また、ブレーキ制御の改良で、時速285キロからの制動距離をN700S比で5%短縮する。こちらも既存車両を改造する。