芸能界を中心にコンプラ問題が頻発し連日報道されるなか、ネット記事のコメントに笑ってしまった。「これはもう、コンプラ違反とかいう問題じゃない。法律違反だ」。いや、コンプラ違反とは法律違反のことであろうに。こんなことをわざわざ書くのも空虚なほどに、社会通念上の「コンプラ」が、宙に浮いてさまよっている。
もちろん、言葉が常に原義通りに用いられる必然性はない。用法は常に社会のなかで変わっていくものであり、コンプライアンスもまた、法令遵守という意味を逸脱して用いられるようになっている。ただし、すべての逸脱が許容されるべきでもない。特に、その意味の変容が、人々の意図を超えて、意図せざる結果としてもたらされたものであれば。
ならば、その変遷を辿り、意味を問い直す価値はあるだろう。というよりも、再考すべき段階に来ている。私たちはもう、コンプライアンスについてワケがわからなくなっている。
コンプラ先進企業は
異性とのランチを禁止する
ハラスメントは現代のコンプライアンスを語るうえで欠かせない概念だ。法律の専門家でない筆者が言うのは憚られるものの、非専門家でも当然わかる話なので言及しておくと、ハラスメントそのものは法令違反とは限らない。
いやいや、改正労働施策総合推進法、通称パワハラ防止法でハラスメント対策は法制化されたはずだ、という意見もあるかもしれない。この法改正が意味するのは「企業がハラスメント対策を講じることの義務化」である。法令で定められていて違法になりうるのは企業がハラスメントへの対策や対応を看過することであり、ハラスメントそのものではない。
具体例としてセクシャルハラスメント、セクハラについて考えよう。たとえば上司が部下に「あなた結婚してるんだっけ」「結婚する予定はあるの?」と訊くことは、もはや一般的にはセクハラに当たるという認識が強いだろう。ただ、この言動自体に違法性があるとは到底言えない。もっと言えば、この発言だけで問題化することは過剰である。







