大NTT 巨大再編の賭け#6Photo by Masato Kato

NTTグループは2018年から巨大再編を進め、NTTドコモとNTTデータグループの完全子会社化を実現した。果たして、グループ再編はこれで完成したのか――。NTTは有利子負債が16兆円規模に膨らむ中、今なおデータセンターなどへの巨額投資を続ける。その一方で、AI(人工知能)の普及を受けて大型M&A戦略を見直していることが分かった。特集『大NTT 巨大再編の賭け』の#6では、グループ再編を副社長時代から主導してきた島田明社長を直撃し、巨大再編の舞台裏、国内データセンター拡大計画、M&Aを巡る経営判断の実態に迫った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 村井令二)

NTTデータGに集約した
グローバル再編は完了か?

――2018年に澤田純前社長(現会長)と当時副社長だった島田社長がNTTグループの巨大再編に着手してから、足かけ9年がたちました。完全子会社化したNTTドコモとNTTデータグループ(G)は今後、どのような役割を担うのでしょうか。

 NTTは既存事業で稼いだキャッシュを新たな事業に投入し、事業ポートフォリオを変えてきました。

 30年度に目指すEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)4兆円のうち、約半分の2兆円をドコモが担うので、ドコモは引き続き重要です。ただ、ドコモでは成長を担う事業が変わり、コンシューマ通信事業(携帯電話事業)に大きな伸びを見込まない一方、金融などのスマートライフ事業と法人事業で成長を目指します。特に法人事業は、旧NTTコミュニケーションズ(現NTTドコモビジネス)をドコモ傘下に統合した再編の効果で、大きく成長させることができるようになりました。

 データGについては、30年度までにEBITDAを約1.5倍にする計画です。成長率がドコモを大きく上回るのは、それくらい伸びる期待があるからです。データGの事業を伸ばすことが、われわれの大きなミッションだと思っています。

――グループ全体の中でデータGの役割は大きいと。

 これからのけん引役になるでしょう。データGは完全に法人ビジネスを担っています。国内・海外をそれぞれ強化していくことが重要です。

――グローバル再編は、18年に海外統合に着手し、22年にNTTデータ傘下へ集約、25年のデータG完全子会社化まで7年を要しました。かなり遠回りの再編だったように見えます。

 海外事業には、NTTデータが買収した事業、旧NTTコミュニケーションズ(NTTコム)が買収した事業、10年に買収した旧ディメンション・データという三つの主体があり、一気に統合するのは難しかった。

 それぞれに社長や事業責任者がおり、世界100を超える国・地域の拠点を一つにするわけですから、明日から一緒に、というわけにはいきません。

 まず旧NTTコムの海外事業とディメンション・データを統合してNTTリミテッドを設立し、次にNTTデータの海外事業と一体化しました。最後に資本関係を整理し、データGの完全子会社化に至りました。

 この一連の再編によって、海底ケーブルや通信ネットワーク、データセンターなどのインフラから、ITサービス、ソフトウエアまで提供できる「フルスタック」の体制が整いました。顧客のさまざまなニーズに対応できることが、今後のグローバル事業の強みになります。

――18年の当初から、データGの完全子会社化を想定していたのですか。

 グローバル事業は最終的に一つにすべきだと思っていましたし、おそらく澤田もそうだったでしょう。最初から完全子会社化まで考えていたかはともかく、最終的には必要になると思っていました。100%子会社でなければ、グループの経営資源を投入する際に少数株主との利益相反が生じる可能性もあるからです。

――グローバル再編は、データG完全子会社化によって完成したと言えるのですか。

 まだ完成ではないでしょうね。過渡期だと思います。

――さらに統合を進める分野はあるのでしょうか。

 ドコモはまだ国内サービスが中心ですが、傘下にはNTTドコモ・グローバルがあります。いずれはドコモのサービスを海外に展開したいのが本音です。NTT東日本もインドネシアで現地企業と光サービスを展開しています。

 グループ各社が強みを海外に展開する中で、再び事業を一本化した方がよい場面も出てくるかもしれない。まだまだこれで終わりだとは思っていません。

 テクノロジーの進化とともに事業も変わります。その時代に合った組織は、後から付いてくればよいと思っています。

長い時間をかけてグループ再編を実現したNTTは、どのような成長戦略を描くのか。次ページでは島田社長が、NTTデータGの成長戦略とドコモの立て直しについて語る。データG社長だった佐々木裕氏をNTT持ち株副社長に抜てきした狙いとドコモの前田義晃社長に託したミッションとは?さらに、国内での巨大データセンターの新たな建設計画の可能性と、AIの普及を受けた大型M&A戦略の見直しの舞台裏も明かしてもらった。