
NTTによるNTTデータグループの完全子会社化が9月30日付で完了する。これにより、NTTのグローバル再編は完成し、世界の巨大テック企業に対抗する体制を整えた。特集『巨人復権 大NTTの野心』の#9では、グループ全体の成長をけん引することになったNTTデータグループの佐々木裕社長を直撃し、その真の狙いを聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 村井令二)
独立心が強かったNTTデータグループが
NTTの完全子会社になった舞台裏とは
――NTTデータグループは9月26日付で東京証券取引所の上場を廃止し、NTTによる完全子会社化が9月30日に完了します。グループ全体から見れば、グローバル再編が完結するということになりますが、どのように受け止めていますか。
これまでもNTTデータグループとしては、株式市場で親子上場の問題が指摘されてきたので、私としても、いずれ、こうした形になることは想定していました。ただ、正直に申し上げると、少し早いタイミングで、この形になったなという思いがあります。
――NTTデータグループはNTTの完全子会社になる前段階として、2022年10月にNTTグループの海外事業を傘下に入れました。それは、NTTデータ側の提案だったとのことですが、当時の狙いはどこにあったのでしょうか。
NTTグループの海外法人向け事業は、NTTとNTTデータがそれぞればらばらにやっていたので、非常に非効率的でした。おそらく、NTT全体でもその問題意識はあったと思います。そこで、それを引き受けて統合しようというのがわれわれの意図でした。
交渉は、21年の秋ごろから始めたのですが、NTTデータ内部では社外取締役も含めて相当に議論しましたね。当時は、まだデータセンター事業が世間で注目されていなかったので、われわれがその事業を統合することについては、さまざまな意見が出たのが正直なところです。
(NTTのグローバル事業を統合した)結果としてNTTデータグループは、売上高が4兆円を超える規模になりました。私は24年度から、社長になってグローバルベースで顧客と対話してきましたが、AWS(アマゾン ウェブ サービス)、マイクロソフト、グーグルなど米クラウドサービスベンダーのほか、ソフトウエアを提供するSaaSベンダーを含め、世界の名だたる会社から注目される存在になったという意味で、あのときのディールは大きな意味があったと感じます。
――NTTの海外事業を統合したNTTデータグループが今回、NTTの完全子会社になりますが、データセンター事業などを取り込んだ過去3年に内部で何があったのでしょうか。
22年10月からNTTデータグループの内部で何が起きていたのか。それは、大きく分けて二つありました。
22年10月のグループ再編で、NTTの海外事業を一手に引き受けることになったNTTデータグループ。それから3年が経過して今度はNTTの完全子会社となり、NTTグループはグローバル再編をいよいよ完了させる。その狙いや意義について、再編の舞台裏を知る佐々木社長が、全容を語った。