大NTT 巨大再編の賭け#8Photo by Masato Kato

NTTグループの成長のけん引役に位置付けられたNTTデータグループは、年間5000億円規模のデータセンター投資を続ける一方、AI(人工知能)領域の強化も急いでいる。NTTの完全子会社化によって拡大した投資余力を、どう成長につなげるのか。特集『大NTT 巨大再編の賭け』の#8では、中山和彦社長を直撃し、巨額のデータセンター投資を支える新たな資金調達の仕組みと、大型M&A(企業の合併・買収)を巡る経営戦略に迫った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 村井令二)

NTTの「大きな船」で巨額投資へ
大規模M&Aを可能にする“財務戦略”とは

――NTTがNTTデータグループ(G)を完全子会社化して1年余り。NTTグループは2026~30年度の中期計画で、データGをグループ全体のけん引役と位置付けましたが、その役割をどう認識していますか。

 NTTの島田明社長が話している通り、われわれにはNTTグループの法人向け事業をリードする役割があると認識しています。グループ内にはNTTドコモビジネスもありますが、国内外を合わせた売り上げ規模などから見て、データGが中心的な役割を担うということだと思います。

――NTTは18年から海外事業の再編に着手し、25年のデータG完全子会社化まで、長い時間をかけてグローバル事業を集約してきました。中山社長は、この再編にどのように関わってきたのでしょうか。

 データG傘下の海外事業には、NTTデータが買収してきた事業、旧NTTコミュニケーションズ(NTTコム)が買収してきた事業、10年にNTTが買収した旧ディメンション・データという三つの源流があります。

 NTTグループは18年から、この海外3系統の統合に着手しました。まずNTTコムの海外事業とディメンション・データを統合してNTTリミテッドを設立し、22年からNTTデータの海外事業との統合を進めました。

 私は18年に持ち株会社からNTTコムの財務部長に転出し、コムの海外事業の移管を担当しました。翌19年までに海外事業をNTTリミテッドに移管するという期限があり、非常に短い期間で大規模な移管作業を進めたのを覚えています。

 その後、23年にデータGが持ち株会社として発足し、国内事業のNTTデータと海外事業のNTTデータインクを傘下に置く体制になりました。私もこの頃からデータGに移ってきて、NTTリミテッドとNTTデータの海外事業を統合する作業に取り組んでいます。

――データG傘下の海外事業の統合はどこまで進んでいますか。

 私がデータGに来た当時は、各地域に双方のオフィスがあり、カントリーリーダーもそれぞれ存在していました。そこで、オフィスを集約し、地域ごとに2人いたリーダーを1人にする作業を進めました。相応の費用もかかりましたが、この数年でオフィスや指揮命令系統の一本化はかなり進みました。

 一方、残っているのが社内システムの統合です。24年から本格的に進めていますが、人事や財務のシステムが複数あり、全てを統合するにはもう少し時間が必要です。人事のシステムは今年度くらいにできると思いますが、財務システムは28年程度までかかる予定です。システム面も含めた完全な統合はまだ少し時間が必要です。

――この間、NTTはデータGを完全子会社化しました。中山さんはデータG副社長として完全子会社化を受け入れる立場にありましたが、NTTの100%子会社になるメリットをどう見ていたのでしょうか。

 財務面のメリットが大きい。完全子会社化した25年当時の佐々木裕社長は「大きな船に乗る」と話していましたが、まさに投資余力が拡大するということです。

 私がデータGに来た23年ごろには、すでにデータセンター需要の急拡大で投資額が膨らみ、資金の確保が課題になっていた。われわれは、データセンターだけでなく、SI(システムインテグレーション)事業もしっかり伸ばしたい。そのための投資やM&A(企業の合併・買収)も進めたいという思いがありました。しかし、財務健全性を踏まえるとデータセンター投資を優先せざるを得ず、大規模なM&Aにはなかなか踏み切れませんでした。

 実際、完全子会社化の前は、取締役会でもデータセンター投資をどこまで拡大するのか、限られた資金をどう配分するのかという議論が相当にあった。それがNTTの100%子会社になって財務余力が格段に高まり、投資についての議論や意思決定がかなり進めやすくなりました。

データGは、NTTの完全子会社化で、巨額のデータセンター投資やM&Aを進める財務的な余力が格段に高まった。では、投資資金をどこに振り向けるのか。6月に就任した中山和彦社長が、データセンター投資の資金調達や新たな投資スキーム、初の海外での取締役会で協議した北米事業の強化方針、今後のM&A戦略について語った。