「たとえ0.1でも、その積み重ねを信じて続けるしかない」
忘れがたい「最初のひとり」までの道のり
須田 しかし初期のバイマはなかなかユーザーが集まりませんでしたよ。サービスの特性上、ユーザーが集まらないことには商品が集まらないので、まったくマッチングが起こらない。完全な負のスパイラルに陥っていました。
だから初めての成約の瞬間はやっぱり嬉しかったですよ。みんなで喜び合いました。構想からのべ2年くらいかけて、ようやく売れて、入ってきたのがたった480円。「大丈夫なのかこれ?」という一抹の不安はありましたね(笑)。さらにそこからも黒字になるまでは3年半かかりました。
出雲 すごくよくわかります。弊社は最初に培養に成功したというのは大きな成果だったのですが、そこから商品が実際に売れていくまでは、「インチキなんじゃないの?」とか「どうせ虫でしょ。イモムシなんでしょ」といった誤解との戦いでした。そうした足踏みが3年間も続きました。
そんな中、「社長を出せ」という一本の電話がかかってきたんです。大阪のミナミで教師をやっている方でした。当初、なにか不具合かなと心配していましたが、後でファックスもいただいて。
「今までいろんな偽物をつかまされてきたけれど、ミドリムシはホンモノだった」
といった趣旨のことがそこには書かれていました。本当に心の支えになりましたよ。弊社も3年間ずっと赤字でしたから。その後、この方とは実際にお会いして、直接感謝を伝えました。
須田 なかなか結果は出ないですよ。そもそも結果がわかってたら苦労なんてしません。
だから、積み重ねを信じて見守るしかない。先月1だったものが、いきなり2倍や3倍にはならないものです。1.1とか、1.2とか、ほんのちょっとでも積み上がってるということは、可能性があるはずです。僕らはただ、それを信じて続けていっただけでしたね。
そして、「ユーザーにとって本当によいもののはずだ」という確信だけは常に持っていました。出雲さんの場合は、そこがテクノロジーなので、また少し違うかもしれません。
後編は、「起業の難しさ」「世界規模で仕掛ける意味」について、
語っていただきます。お楽しみに!(9月6日公開予定)
<書籍のご案内>
僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。
――東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦
この世に、くだらないものなんて、ない。
僕がミドリムシと歩んできたこの10年のストーリーで
伝えたいことは、このことだけなんです――。
いま日本に、世界から注目を集めるバイオベンチャーがある。名は、株式会社ユーグレナ。「ミドリムシ」の大量培養技術を核に、世界の食料問題、エネルギー問題、環境問題を一気に解決しようと目論む、東大発ベンチャーだ。2012年12月にはついに上場を果たしたユーグレナを創業した出雲充氏が、起業に至る7年と、起業してからの7年を初めて語る。
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