日本株こそもたついているものの、世界の株式市場は9月に入って騰勢を強めている。中国の上海総合指数がすでに10%以上上昇したほか、欧米の主要株価指数も相次いで戻り高値を更新した。こうした動きの背後にあるのが、「ドルキャリー取引」だ。
8月のFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録などを受けて、米国の超低金利政策は長期化するとの見方が強まった。その結果、米国のイールドカーブは全般に低下、特に2年より短い期間の金利はS&P500が安値を付けた3月9日を下回る水準まで低下した。
また、3ヵ月物ドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)は、足元で円やユーロのそれを下回っている。
2005年から06年にかけて低金利の円で資金を調達し、各国の株式や債券などに投資するいわゆる「円キャリー取引」が流行した。足元で始まっているのは、円よりも低コストで資金を調達できる「ドルキャリー取引」だ。
7月までは「リスク選好度」がキーワードだった。これが高まる局面で株式が上昇し債券が下落。高金利通貨が買われる一方で、避難通貨であるドルや円は売られた。