伝えたい情報を直感的にわかるように、グラフィカルに表現する「インフォグラフィック」。この「相手がぱっとわかるように工夫する」という考え方のクセそのものが、コミュニケーション上手にしてくれるはず。本連載は、情報をよりわかりやすく、という枠を超え、発想そのものを広げるための教科書だと思ってください。どうやってこのアウトプットに辿り着いたか、発想のスタート地点から解説していくことで、「考え方のプロセスと構造」がわかります。第3回は食べ物縛りで考えた、世界地図の図法です。
40年前に食べたみかん
皮を見ると世界地図に
僕は地図の持つ、凝縮されたグラフィカルな雰囲気が好きなんだと思います。ということで今回も、連載1回目に続いて地図絡みの作品を。
このネタは、決してオーバーではなく40年熟成モノなんです。というもの、僕が5歳の頃、つまり47年前に発想の火種がついたのです。その瞬間は、金沢の市営住宅の狭い居間でこたつに入って、ばあちゃんとみかんを食べていたとき。生来、しぐさが雑な僕であるから、子どもの手でざくざくと剥いた皮は、汚い曲線を描いて不規則なパーツがつながった1枚になった。
こたつの上に置いたそれを見た子どもの頭に、まだ正確な形を認識できてはいない、漠とした世界地図の形が浮かんできたのです。
「みかんの皮剥いたん、世界地図に似とらんけ?」(金沢弁)とばあちゃんに向かって口に出したかどうかの記憶はないものの、たしかにそう思った。その鮮明な記憶。一人っ子だから退屈だろうと、父親が僕に買い与えた数冊の小学館の図鑑。その中の『気象天文の図鑑』に出たような気もするし、他の何かで見たことがあったのか……。
という原点の状況をイメージしていただきつつ、まずは今回のインフォグラフィック画像<世界地図の食べ物図法>をどうぞ。