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家庭用ゲーム機は「オワコン」なのか?
コアユーザー層と籠城するソニーのプレステビジネス

小山友介 [芝浦工業大学システム理工学部教授],石島照代 [ジャーナリスト]
【第41回】 2013年9月18日
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 しかし、開発陣はこの有機EL不採用に悩みを見せる。「黒色の扱いが困る。有機ELはバックライトの必要がないので、濃淡のある黒もかなりきれいに発色できている。でも、通常の液晶はバックライトで照らさねばならないので、有機ELスタンダードで画像を作っていると、新型の方は黒ベタ一色になる可能性が高い。なので、PS Vita用ソフトは補正プログラムを組む必要が出てくるとなると、作業工程が増えるかもしれないですね。それでも、経営陣は有無を言わさず、開発にやらせるんだろうけど(苦笑)」。

 これについて、新型PS Vitaを事前に触ったある業界人は「よほどの人でなければ、違いはあまり気にならないと思いますよ。私も触ってみましたけど、まったくわからなかった。個人的には、色の違いよりも本体の薄さの方が気になりました、本当に薄いんだなって(笑)。新型PS Vitaも東京ゲームショウでプレイアブル出展されますから、事前に確認した方がいいと思います」とアドバイスしてくれた。なお今後も、有機EL版PS Vitaは新型と併売される予定だ。

 ソニーも任天堂もそれぞれの“強み”を生かして選択肢を増やし、廉価版ビジネスに参入した。前回、任天堂の携帯用ゲーム機「ニンテンドー2DS」に関するビジネス戦略は、1000万本以上売ることが義務づけられているポケモン新作のための廉価版シフトであり、スマートフォン陣営との衝突を避けた任天堂は子ども市場に籠城する方針であることを示した。対してソニーは、コアユーザーに向けて廉価版を発売し、ともに籠城する方針を取ったといえる。それぞれの籠城作戦がどのような結果をもたらすか注目したい。

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小山友介
[芝浦工業大学システム理工学部教授]

1973年生まれ。芝浦工業大学システム理工学部教授。2002年京都大学大学院博士課程修了。博士(経済学)。東京工業大学助教等を経て現職。東工大時代に経済シミュレーション研究に従事、そこで学んだコンピュータサイエンスの知識を生かしてゲーム産業研究を行なう。専門はゲーム産業を中心としたコンテンツ産業論と社会情報学。2016年6月末に『日本デジタルゲーム産業史』 (人文書院)を刊行。

石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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