ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は2月21日(現地時間2月20日)、新型家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)4」を開発中であることを明らかにした。発売は米国のホリデーシーズン(今年の11月下旬以降)を予定しているという。スマートフォンやタブレット端末の普及といわゆるソーシャルゲームの勃興で、家庭用ゲーム機不要論もささやかれる一方、ソニーに次いでマイクロソフトも新型ゲーム機の発売を予定しているといわれ、家庭用ゲーム機ビジネスが終わりそうな気配は見えない。なぜ新しいゲーム機は発売され続けるのだろうか。(取材・文/ジャーナリスト 石島照代)
米国・ニューヨーク、ミッドタウンウェストにある「The Hammerstein at Manhattan Center」は、6時のスタートを待たずに人で埋まっていた。1階、2階は満員、3階も半分以上の席が埋まっている。この日のイベントタイトルは「PlayStation Meeting 2013」。もちろん、「PS4」の発表会であるとは事前告知されていない。だが、ニューヨークでやるイベントに対して、日本のマスコミにまで招待状が出されたことから、内容は推して知るべし、だろう。
イベントが始まり、「PS4」のロゴが大きく映し出され歓声が起きると、「本体は?」、「価格は?」という好奇の視線が舞台に注がれ続ける。だが、PS4関係でお披露目されたのは、結局「デュアルショック4」のコントローラと発売時期だけだった。イベント終了後、なんとなく肩すかしを食ったようなマスコミ関係者の表情が印象的だったが、「なぜPS4の本体を公開しなかったのか?」と尋ねられた、SCEスタジオの吉田修平プレジデントの「なぜ気にするの(笑)」というコメントもふるっている。
確かに、たっぷり2時間以上というイベント時間は申し分なかった。さまざまなPS4のコンセプトの話やソフトメーカーの施策が発表され、PS4のシステム設計のトップ、マーク・サーニー氏は、PS4は「開発者のポテンシャルを生かす」、とにかく「ゲームを開発しやすいハード」であることを心がけていると強調していた。セガのヒットゲーム「ソニックザヘッジホッグ2」を手がけたゲームデザイナー兼プログラマーだけに、その言葉は説得力がある。ユーザーとの間に壁を作らないゲーム機であろうとしていることも分かった。だが、関係者がいちばん知りたいことは、「PS4はビジネスできるゲーム機なのか?」だろう。