「どの投資信託を買ったらいいかわからなかったから、証券会社の窓口ですすめられた通りのものを買った」という方、実はけっこう多いのでは?
 でもこれはかなり危険です。金融機関が売りたい商品が、あなたにとってベストな商品とはかぎりません。知らないうちに“カモネギ”になっていた、なんてことにならないように、今回お話しするノウハウをものにして、自分自身で商品の良し悪しを判断できるようになりましょう。

投資信託選びのポイントはこの3つ!

朝倉智也(あさくら・ともや)
モーニングスター株式会社 代表取締役社長。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、1995年米国イリノイ大学経営学修士号取得(MBA)。その後ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資産運用全般、子会社の設立および上場準備を担当。1998年、モーニングスター株式会社設立に参画し、米国モーニングスターでの勤務を経て、2004年より現職。第三者の投信評価機関として、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。主な著書に『〈新版〉投資信託選びでいちばん知りたいこと』、『30代からはじめる 投資信託選びでいちばん知りたいこと』(ともにダイヤモンド社)、『低迷相場でも負けない資産運用の新セオリー』(朝日新聞出版)がある。

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 現在、投資信託は日本国内だけで4000本もの商品があります。これだけたくさんあると、いったいどうやって選んだらいいのだろうと戸惑ってしまう方も多いと思います。

 たしかに、投資信託で堅実に資産を殖やすことは、その魅力ばかりに注目しがちなマネー誌や口のうまい営業マンがいうほど簡単なものではありません。

 しかし実は、ここにはちょっとした「コツ」があります。いったんコツさえつかんでしまえば、投資信託選びはそれほど難しくないこともまた事実なのです。今回の記事でみなさんに覚えていただきたいのは、「投資信託を選ぶ際に着目すべき3つのポイント」。それはズバリ、次の3つです。

 1. コスト
 2. リスクとリターン
 3. 運用資金の大きさと推移

 数ある商品の中からより良いものを見つけ出すには、この3つの観点から商品どうしを比較することが大切です。まず「コスト」の面から比べ、次に「リスクとリターン」を比べ、最後に「運用資金の大きさと推移」を比べる。そうやって多面的に比較していって、より優れているものを見つけていくわけです。

 これら3つの視点は投資信託を選ぶうえできわめて大切なので、それぞれについて以下でもう少し詳しく説明していきます。

「コスト」は最もハズレのない比較ポイント

 将来のパフォーマンスを予測する際、多くの方は、過去の運用実績、リスクの大きさ、ファンドマネジャーの経歴などに注目すると思います。もちろん、どれも大切な情報ではありますが、これらはあくまでも過去の実績。どれほど精緻に予測をしても、過去の実績が必ずしも将来のパフォーマンスを保証してくれるものではありません。

 では、コストは? そうです。パフォーマンスやリスクの予測とは違い、コストは投資信託を購入する時点で、毎年どれだけかかるのかをあらかじめ把握できます。コストの多寡は私たちの手元に残る最終的な運用益の額に大きく影響するので、決してあなどってはいけません。

 投資信託にかかるコストは、主に2種類あります。ひとつは購入時にかかるコスト(販売手数料)、もうひとつは購入後に毎年かかるコスト(信託報酬)です。運用期間が長期になればなるほど信託報酬の多寡はパフォーマンスに大きく影響を及ぼしますから、投資信託の商品比較をする際には、毎年引かれるコストである「信託報酬」のほうにより注目しましょう。