運用期間が来る前に目標金額を達成したら?

 ここまでは、目標金額を達成する前に投資信託を売却すべき状況を考えてきました。では、運用期間が終了する前に目標額を達成した場合は、どうしたらよいのでしょうか?

 期間満了を待たずして目標額を達成できたら、すべての投資信託を売却して、預貯金などリスクの低い資産に移しましょう。

 このときに絶対にしてはならないのは、ついつい相場観を出して、一部の資産だけは売却せずに、運用期間が過ぎるまで保有しつづけることです。たとえば、目標額を達成した時点で株式市場が好調だったとしても、「国内株式型投資信託だけは売却するのをやめよう」などと欲を出してはいけません。

 一部の資産だけで、しかも運用期間満了までの残りわずかな期間で運用することは、本書でこれまで説明してきた資産運用の原則から大きくはずれるものです。原則からはずれれば、それだけリスクも高まります。せっかくこれまでつづけてきた努力が最後の最後で水の泡、というのでは泣くに泣けません。

 この連載では、資産運用の基本的な考え方から、具体的な投資信託の選び方、運用方法までをお話ししてきました。これまで説明してきた手順をおさらいすると、以下のとおりです。

 1. 投資の目標を決める
 2. 予想運用利回りから投資タイプを割り出す
 3. 分散投資できるようにポートフォリオを組む
 4. 自分に適した投資信託を選ぶ
 5. 運用状況を定期的にモニタリングする
 6. 運用中に大きな変動要因があれば売却を検討する
 7. 目標額を達成したら預貯金などリスクの低い金融商品に資産を移す

 以上のプロセスを踏むことは、それほど大変なことではありません。この一定のルールに沿って運用するだけでも、資産形成は十分に可能なのです。

 2014年1月からは、いよいよNISA(少額投資非課税制度)がスタートします。この機会に投資信託の購入を検討されている方も少なからずいらっしゃるでしょう。そんな方にも、本連載でお伝えしてきた内容は有効です。これを機会に投資信託の良し悪しを見極める勘所を身につけ、ご自身の資産形成にぜひお役立てください。


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