
米中関税引き下げ合意で方針転換!?
「歴代最低」の支持率は47%まで持ち直し
トランプ政権は、5月10~11日に行われた中国との貿易交渉で、それぞれが関税を115%引き下げることに合意するなど、貿易戦争の落としどころを探し始めたようにみえる。
トランプ氏の支持率も、米中合意の発表と合わせるように下落傾向が一服し、就任100日の節目にあたる4月下旬には調査会社によっては歴代大統領で最低の水準にまで低下し、米政治サイトのリアル・クリア・ポリティクスが集計した各社調査の平均でも45%近辺まで低下していた支持率が、5月20日時点では各社平均で47%台にまで持ち直している。
唐突にもみえる対中関税大幅引き下げの方針転換の背景には、相互関税の発動などで起こった、株価やドル、米国債の下落(長期金利の上昇)など、マネーの米国離れともいえる動きがあったことは広く指摘されている通りだが、来年に控えた米議会の中間選挙に向けた共和党の事情も見逃せない。
中間選挙では、大統領が所属する政党が議席を減らすことがほとんどで、共和党が下院で3議席を減らせば、多数派から陥落する状況だ。
強固な「岩盤支持層」に支えられたトランプ大統領といえども、それだけで中間選挙を乗り切るのは難しい。政治に関心が薄い有権者層まで支持をいかに広げるかが鍵になっている。
実際、昨年11月の大統領選でのトランプ氏の勝利を後押しすることになったのは、こうした層の票だった。
このところの関税政策の軟化は、トランプ関税による経済悪化やインフレ再燃などへの懸念が国民の多くに広がってきたなかで、「米国第一」で他国に貿易赤字削減で圧力をかけるパフォーマンスとともに、「暮らしの改善に向けても成果を上げている」という印象を広めることが必要との思惑からだろう。