ファイナンスとプレゼンも重要なスキルになる

河合 英語以外に通貨になりそうなスキルはありますか?

斎藤 ファイナンスもその1つでしょうかね。聞いた話ですけど、アインシュタインは、相対性理論以上に大事なことを言ったとされているようです。世界で一番強いものは何かと問われれば、「それは複利の力だ」と。今は超低金利の時代なのでピンときませんが、西洋では金融教育を幼少時からやっていますよね。

河合 大学でもファイナンスの重要性はもっと強調されていいと思います。バランスシートもわからないで学生が卒業していくのは心配ですよ。

斎藤 そうですね。やはり、B/S(貸借対照表)とP/L(損益計算書)には触ってほしいですね。

河合 私も今、「Introduction to Finance」という講義を持っています。教養として、そのくらいは身につけてほしいと思っていますから。騙されずに生きていくための教養だと思います。

斎藤 たとえば、私どもの会社でも、入社の初期の段階で、簿記の3級を取りなさいよ、FPの2級まで取りなさいよ、という指導はしているようです。ファイナンスの知識はビジネスのインフラですから。

河合 そう思います。それに加えて、私はプレゼンテーションのスキルも必要だと思っています。つまり、自分の意見を相手にいかに伝えるかの技術です。

斎藤 オリンピックのプレゼンテーションは素晴らしかったですね。あれだけ訓練すれば、心に響くプレゼンテーションができるということだと思います。訓練によってできるという意味では、英語でのプレゼンテーションはレベル4でできるんですよね。

河合 そうですね。Q&Aまでは対応できるかどうかはわかりませんけど、プレゼンテーションはレベル4でできますね。今の学生はプレゼンテーションがすごく上手ですよ。プレゼンテーションは、英語のレベル4の人がレベル5になるために必須のスキルでもあると思います。プレゼンテーションを通して、論理的に議論を組み立てる能力、相手を説得する能力を身につける必要があると思います。

斎藤 これから3年、5年と時が経つと、「あのとき、お互いにあんな幼稚なことを心配していましたね」というように、急速に変わっていくといいですね。

河合 私が留学した当時と今があまり変わらないというのが不思議なくらいです、30年も経っているのに。しかし、ここまでくると、英語が必要だということが、国民的なコンセンサスになっていると感じますね。


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