オレの人生オワタ…
あきらめてしまう社会はおかしい!

乙武 また、現場にいくとさまざまな問題を抱えた子どもがいます。発達障害や貧困などは、目に見えにくくわかりづらい。

 松田さんは体育教師でしたよね? たとえば僕に向かって、「乙武、なんで逆上がりをしないんだ!」とは言わないと思うんです。なぜなら、手や足がないって目に見えるから。

 でも発達障害の子というのは、そういった問題が見えにくいわけです。「なんで○○しないんだ!」「○○ができないんだ!」といっても、本人だってみんなと同じようにしたいと思っているのにできない。その理由が、本人にもわからない。

 そんな風に毎日、叱られ続けていると自己肯定感がどんどん低くなっていく。そんな積み重ねで、二次障害を引き起こしてしまうなどの弊害が広がっていく…。そうした現実があります。

松田 今、発達障害の子の割合というのは増加していますよね。

乙武 さらに貧困の問題。今の日本は僕らが思っている以上に貧困家庭が多い。松田さんの著書にも書いてありますが、生活保護や、通学用品、学用品の補助を受けているような就学援助の対象になっている子は15%もいるんです。子どもが6~7人いたら一人はそういう子がいるということです。
さらに、世帯年収1500万円以上と200万円未満家庭のお子さんはテストの正答率、20%も違うんです。20%ですよ? すごい数字ですよね。

 こういった問題は僕らに見えていないだけ。いや、見て見ぬフリをしているだけかもしれません。

 今の日本って、誰がクジ引きでババを引くか、という社会になってしまっていると思うんです。はずれくじが出たら人生をあきらめる。生まれたときに障害を持っていた、貧しい家庭に生まれただけで、「あー、オレの人生オワタ」とあきらめざるをえない社会。

 でも、そんなのおかしいでしょ。そんなことで人生終わっていいわけないじゃないですか。

どんなくじを引いても、平等にチャンスが与えられる社会、それが真の成熟した社会であり、それを実現するための装置が「教育」なんだと僕は信じています。