日本にとってきわめて重要な施策があり、その実行のために現行の法的基盤を変更する必要があるとすれば、はじめて憲法解釈の変更を含む議論が意味を持つ。この道筋は、日本の国家としての姿に関わるものであり、具体的でかつ深く、また国民的な広がりを持つ議論を経て結論を得ることが不可欠である。

5年前に指摘された
4つの類型と問題点

 先般発表された「国家安全保障戦略」のなかで言及された「国際協調主義に基づく積極的平和主義」という理念は、この道筋の第一歩、国家としての目標のひとつとして示されたものである。

 次に必要なことは具体的にどのような施策を講じるかという政策論、ついでその政策を進める上で必要な法的な基盤に関する議論である。この点、第一次安倍政権下で設置され、現政権下で検討を再開した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」における議論の意味は大きい。

 2008年6月に発表された同懇談会の報告書(「安保法制懇報告書」)は、4つの類型について具体的なケースでの法的な問題を明らかにし、是正の方向を提言している。

(1)公海における米艦防護
(2)米国に向かうかもしれない弾道ミサイルの迎撃
(3)国際的な平和活動における武器使用
(4)同じPKOに参加している他国の活動に対する後方支援

 起草から5年を経た現在、個別のケースについて取捨し、あるいは付加する必要があると思われる一方、往々にして抽象論になりがちな法律及び憲法に関する議論を目に見える形に具体化した功績は高く評価すべきであり、現在行われている検討の成果が待望される。