AI歌手の生みの親が4.6億円の高額契約!「現代のシンデレラストーリー」か「ミュージシャンの悪夢の始まり」か?AIアーティストのザニア・モネ(YouTubeのスクリーンショット)

欧米ではAIで生成された楽曲がチャート上位を占め、AIアーティストを巡る「争奪戦」まで起きている。制作現場では新しいテクノロジーとして受け入れる声と、著作権や職業としての音楽が脅かされるとの懸念が交錯する。これは、「現代のシンデレラストーリー」か「ミュージシャンの悪夢の始まり」か?さらに日本では、AI曲が意外にも耳になじみやすいという指摘もある。音楽生成AIの急拡大が、いま何を変えつつあるのか。(フリーライター 武藤弘樹)

音楽チャートのトップ10にAI生成楽曲
首位を獲得することも

 欧米ではAIで生成された楽曲がメインストリームに入ってきている。アメリカではビルボードをはじめとする各種チャートでトップ10にAI生成楽曲(以下、AI曲)が複数入ったり、首位をたびたび獲得したりしている。

 AI曲は山のようにアップロードされていて、配信プラットフォーム側で大量の削除作業も行われているのだが、それでも配信全体の3割を超えるという調査結果もある。

 AIによって生成されたR&Bシンガーの中でも売れているザニア・モネ、その生みの親(生成AIソフトを使ってザニア・モネを作った人)であるテリシャ・“ニッキー”・ジョーンズを巡ってはレコード会社から引く手あまたで、入札合戦の末、最終的に300万ドル(約4.6億円)の契約を結んだといわれている。

 ジョーンズはボーカルの生成のみにAIを使っていて、音楽生成AIは楽器と同等の感覚とのことである。

 こうした流れに音楽業界の反応は真っ二つに分かれている。