今の日本のエネルギー効率は
米国とさほど変わらない
本書は6章で構成されています。
第1章「燃料の非化石化」、第2章「運輸」、第3章「建物」、第4章「工業」、第5章「電力」、第6章「選択肢は多いが未来は一つ」。
それぞれ綿密なテクノロジーの歴史と検証、コスト分析、クリーンエネルギーによる効率化の方法論が述べられています。
いずれも報告の対象は米国です。ロビンスは「日本語版への序文」で詳細に日本人向けの解説を書いています。
2007年の「旭硝子ブループラネット賞」受賞講演で日本人が取り組むべき4点について語っていますが、そのポイントを序文でまとめています。
1.(略)エネルギー効率化のパイオニアであった日本の現状は、米国に比べても乗用車の効率はほとんど変わらず、建物の効率は低い。日本での1人当たり平均電力使用量は、カルフォルニアやニューヨークより多く、その増加速度はテキサスと変わらない。(略)地球温暖化防止にはお金がかかるし、お荷物であり、犠牲を払う必要があると考える人が大半で、これが利益となり、競争力の源泉であり、生活の質を向上させてくれるものだとは受け止めていない。しかし、現在の技術を使えば、日本は収益性を保ちながらそのエネルギー効率を少なくとも3倍にし、安全保障レベルを上げ、青い地球を守るために貢献することができる。(略)
2.(略)主要な工業国の中でも再生可能エネルギーにはもっとも恵まれており、現在行われているプランよりも小さなコストとリスクで、エネルギー効率の高い長期的なエネルギー需要を全体として満たすことができる。(略)
3.大規模な工業社会は巨大でもろい発電設備を必要とするという古い概念は、今や時代遅れになっている。小型化と情報化に見られる革新は、膨大な数のスマートな分散型発電設備を、僅かの数の巨大発電設備よりも、安く、建設を早く、信頼性を高めてくれる。(略)
4.(略)エネルギーを節減し生産する全てのやり方が、公平に、誠実な価格で競争できるとすれば、もっとも良く花を咲かせるだろう。(略)(3ページ)