「リスクがない高利回り商品」
甘い謳い文句に投資家は騙された

 さて、今年は春節を前後して、中国人投資家の心中は穏やかではなかった。1月、「中誠誠至金開1号」は、“謎の投資家”の出現でデフォルトを回避したものの、2月には吉林信託が組成した「吉林松花江77号」が、未償還の危機に直面した。

 前者は「中誠信託」が組成し、2011年に理財商品として工商銀行で平均利回り10%で販売されたもので、後者は2011年に吉林信託が組成し、中国建設銀行の窓口で9.8%という高利回りをうたって6期に分けて販売された。「中誠誠至金開1号」は30億元を、「吉林松花江77号」はおおよそ10億元の資金を集めた。

「中誠誠至金開1号」は山西振富能源集団有限公司、「吉林松花江77号」は山西福裕能源有限公司の資金調達として設計された。前者は複数の炭鉱に資金を振り向ける計画であり、また後者は山西福裕能源有限公司が行う洗炭、炭化などの事業に投じられた。いずれの融資先も石炭産業である。

 往時(といってもほんの数年前だが)の花形も、今や斜陽産業。そこに振り向けられた資金が高利回りを達成するはずはなかった。信託商品の未償還の危機をめぐっては、中国でも度々騒ぎとなり、「吉林松花江77号」の投資家もまた黙ってはいなかった。1月27日、彼らは中国建設銀行の山西省支店に抗議に向かった。

 この場合、銀行は法的責任は問われないことになっている。むしろ、市場経済の原理原則に基づけば、「投資家の自己責任」ということになる。仮に投資家が「リスクを承知の上で購入」したのなら、未償還という事態も受け入れるべき結果ではあるが、どうやらことはそう簡単に割り切れるものでもない。複数の資料からは「販売代理の銀行が投資家を騙したのではないか?」という形跡さえうかがえるのだ。

 現地紙の21世紀経済導報によれば、販売当時、中国建設銀行山西省支店長はこう言ったそうだ。