マッキンゼーの上司に学んだチーム作りの極意

 私がこれを教えられたのは、マッキンゼーのシンガポールオフィスで働いていたときのことでした。記憶は曖昧ですが、ニューヨークからやって来たシニアのコンサルタントに教えてもらったように思います。

 夕食に同席していると、彼は私にこうアドバイスしました。

「マネージャーとして成功するために、とても大切なことを伝えよう。それは、君より若いメンバーがチームにいたとしたら、彼らをリスペクトして、彼らをサポートして、彼らが君に感謝するように行動することだ」

「なぜですか?」と尋ねると、彼はこう答えました。

「もし君がパートナーとして、この組織でより大きな責任を持つ立場になるならば、君が必要なときに側にいて、支えてくれるチームを作っていく必要があるからだ。本当に強いチームは、君と一緒に働いたメンバーの中からしか手に入れることはできないからね」

 逆に、私はこんな質問をしてしまいました。

「では、もし私がパートナーになるつもりがないか、なれるような器ではなかったら?」

 すると、彼はこう答えました。

「この組織は、極めて優秀で可能性のある人物を選抜するために、最善の努力を行っている。君がグズグズしているなら、君のチームメンバーが、いつの間にか君をチームメンバーとして使うようになるだろう。そのとき、君は彼らに使ってもらう必要がある」

 さらに、彼は続けました。

「もし、君が別の組織で働くようになるならば、君と一緒に働いた極めて優秀な昔の部下が、君を彼らの取引先として検討してくれるかもしれない。あるいは、職を失って困窮する君を、今度は彼らの部下として採用してくれることだってあるかもしれないね」

 自分がより高みに登りたいのであれば、自分の人格や態度で尊敬を集めて、それにより自分のチームを作っていく必要がある。そして、もし自分が高みに登らない(登れない)としても、将来において自分よりも高みに登る人間から良く認識してもらうことで、必ずそれは自分に返ってくる。

 それが、彼のアドバイスでした。