ベンチャー企業の経営者として実務に携わり、マッキンゼー&カンパニーのコンサルタントとして経営を俯瞰し、オックスフォード大学で学問を修めた琴坂将広氏。『領域を超える経営学』(ダイヤモンド社)の出版を記念して、新進気鋭の経営学者が、身近な事例を交えながら、経営学のおもしろさと奥深さを伝える。連載は全15回を予定。

オックスフォード大学で過ごした5年間

 経営学には直接関係ないということもあり、拙著『領域を超える経営学』(ダイヤモンド社)では、私のオックスフォード大学での生活に関してはほとんど何も書きませんでした。しかし、本連載は、こうしたエピソードもご紹介できる貴重な機会ですので、少し経営学から離れますが、今回はオックスフォード大学での日々を中心にお伝えいたします。

 私は、オックスフォード大学で経営研究の優等修士号(Master of Science in Management Research with Distinction)を取得するために、1年ほどを過ごしました。さらに、助手をしながら経営学の博士号(Doctor of Philosophy in Management Studies)を取得するために3年半ほどの期間を過ごしています。

 つまり、合計すると、約5年をオックスフォード大学で過ごしたことになります。日本で学部生が過ごす4年間以上の期間、オックスフォード大学にいたことになり、さすがにこれだけの時間を過ごせば、語れることもたくさんあります。

 そこで、今日はその一端を、みなさまにご紹介したいと思います。

 ここは1つ、コンサルタントを揶揄するための表現を使ってみましょうか。

「私がオックスフォード大学での生活で心に残っているのは、3つあります」

  1.マートンカレッジで過ごした時間
  2.ハウスメイト達との楽しい4年間
  3.オックスフォード大学ヨット部でのセーリング修行

 いや、実際は3つ以上あるのですが、あまりにも長くなりそうなので……今回は上記の3つに絞って簡単にご紹介させてください(ご要望をいただいたら、また書きたいと思います)。