まずは週に2回、家で食事をすることから

――そうなのですね。ですが、普段はなかなか子どもと接する時間が取れない父親が多いのも事実です。

柳沢 まずは、家で飯を食うこと。これを心がけてください。できれば、週に2回くらいは家族で食卓を囲んだり、時間を共にする機会を設けて欲しいですね。そして、みんなで共通の会話をする。難しい話題でなくても構いません。黙々と食べずに会話のキャッチボールを交わせばいいのです。そこで子どもの様子をしっかり観察していれば、精神状態や生活の様子が見えてくると思います。

  私がハーバードに勤務していた時には、17時以降にオフィスにいると、「お前のところの家庭は大丈夫なのか?」と心配されたものでした。皆さん、時間がないから…とおっしゃるけれど、飲みに行く回数を削ってでも、子どもとの時間を作って欲しいのです。

――開成の親御さんは、父親も熱心に教育に携わる方が多いと聞きました。

柳沢 留学の説明会などは、夫婦で来られるケースが多いようですね。皆さん40~50代で、それなりの社会的ポジションについておられる方も多く、現在の日本に対する危機感を第一線で感じ取る機会も多いのでしょう。自分たちが生きていたキャリアパスを息子にたどらせたときに、果たしてうまくいくのかという不安感は強い。今後、グローバルに生きていける競争力を付けてあげたいと考える親御さんが増えてきましたね。

――子どもに“社会”というものを教えるには、父親が適しているということですね。

柳沢 もちろん今はワーキングマザーも多いですからケースバイケースですが、やはり息子の場合は、同性である父親が実体験を元に伝えることでイメージしやすいですし、社会に出ていく不安感が拭える。そうした家庭教育が、自信を育てることにつながると思います。

次回の記事掲載は3月14日です。


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