しかし、会社としてグローバルで魅力ある事業モデルを構築できている企業は少ない。繰り返しになるが、非競争優位の事業をいまだに持ちすぎていることが理由の一つである。それに加えてこれらキーとなるデバイスをデファクト化できる突破力がない点も課題だ。家電業界ではブランド力で稼ぐ時代が終焉を迎えた。トップ企業が20%以上のセットシェアをとれる時代はもう来ないであろう。最終商品はロングテイルの時代を迎え、顧客ポートフォリオマネージメント(例えば、パナソニックが高級電気自動車のテスラ向けを突破口に官庁向け専用の電気自動車ビジネスを獲得するなど、自社ブランドビジネスの代替として多くのユニークな顧客層を獲得して事業運営すること)が、家電企業に求められる時代になってきた。

短期業績と中期展望:
構造改革から成長戦略へ

 2014年の家電業界の主要アプリケーションの金額成長は微増が予想される。カニバリが更に進行していく当業界において、製品軸で業績動向や銘柄選別を行うことは一段と困難となっていくであろう(図3)。敢えてニッチ分野に活路を見出すとすれば、高級時計、高級自動車関連製品、高級スマホ関連部品などが成長シナリオの描ける分野と見ている。業績については、11社合計営業利益で14年3月期は前期比87%増益の5625億円、15年3月期は同50%増益の8422億円と予想している。15年3月期の増益要因として構造改革効果が引き続き大きな比率を占める構造は変わらない。

 中期のテーマはビジネスモデルの革新である。具体的には定額課金のビジネスモデルを立ち上げられる企業がより注目を浴びよう。アップルがiTunesによる音楽配信を始めるまで、音楽業界はCDアルバム12曲を3000円前後で販売していた。それがアップルのビジネスモデルへのチャレンジで1曲100円のバラ売り時代へと大きく変化した。そして今、ソニーが定額課金で聞き放題を提案するビジネスモデルへ変わろうとしている。コンテンツの回収モデルがこのような変貌を遂げる中、ハードも売り切りビジネスは限界にきている。

 テレビや蓄電池など家庭で使われる多くのAV機器や白物家電は、個別商品の差別化で超過利潤を得ることが困難になってきた。むしろ家内のインフラの一つとして住宅価格の中に組み込まれる要素が今後益々増えていくことになろう。パナソニックがこうしたオールインワンの住宅環境を提供できる企業として、どこまで事業ビジネスモデルを変えられるか、特に注目していきたい。

出所:IDC、 JEITA、 Display Search、CIPA等より、BofAメリルリンチ・グローバルリサーチ作成
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