ベンチャー企業の経営者として実務に携わり、マッキンゼー&カンパニーのコンサルタントとして経営を俯瞰し、オックスフォード大学で学問を修めた琴坂将広氏。『領域を超える経営学』(ダイヤモンド社)の出版を記念して、新進気鋭の経営学者が、身近な事例を交えながら、経営学のおもしろさと奥深さを伝える。連載は全15回を予定。
世界経済の行く末、国際経営の未来の姿とは
世界経済はどこに向かうのか。未来の国際経営の姿はどのようなものか。
こうした大味の質問に対しての適切で確度の高い答えは、実際のところ、私も含めてほとんどの人は持っていません。
1970年代に「石油資源があと数十年で枯渇する」と予想した人がその予想を外したように、そして、80年代に「日本の成長が世界を飲み込む」と予想した人がその予想を外したように、私たちが生きる社会と経済は、かなり偶発的な要素にも左右されて、予期し得ない未来に進んでいきます。
とはいえ、この連載の契機となった拙著『領域を超える経営学』(ダイヤモンド社)では、すでに理解されている事実から立論すれば、世界がどのような方向に向かいつつあるのかの現状、また未来の可能性について議論することは可能であると主張しています。
ほのぼのと続けてきたこの連載も、今回を含めて残すところ2回となりました。今回は「世界的な価値連鎖の時代」という現代の特徴について簡単に触れ、最終回となる第15回は、『領域を超える経営学』の終章でも触れているシナリオ分析について解説し、ひとまずの筆をおきたいと考えています。
今回も、少し肩の力を抜いたブログ的な記事をお楽しみください。