リアル店舗ビジネスと割り切りが支える、当日配送

 もともとはここからリアル店舗に各メーカーからの仕入れ品を集約して配送するための拠点でした。しかし、店舗にすべての在庫を持たせることは時価の高い駅前立地ではムダであり、その場での持ち帰りが少ない大型家電については無意味でもあります。なので店舗客の家庭への配送を担うようになりました。

 これが現在では、ネット客の直接在庫・仕分・配送拠点としても機能しています。ネット店単独であれば支えきれないような豊富な在庫や高速での仕分能力は、既存のリアル店舗ビジネスがあるからこそ、なのです。しかもこれは、店舗立地を大都市駅前に絞っている店舗戦略との見事な補完でもあります。

 さらに配送コストをムダに上げないための、独特の「割り切り」があります。商品・商品群別に「当日配送可能な数」を設定して、それに達しそうになったら当日発送を受け付けなくなる仕組みです。

 当日配送のためにはどうしても事前の在庫が必要です。2ヵ所に集約しているとはいえ、その量には限界があります。それを超えて受注してしまえば、メーカーからの緊急配送などのムダが生まれます。配送車両・人員の手配も同じです。

 だから、事前に日々の在庫量や、配送車両の確保・ルート選定(月単位)は確定させておきます。そこで、「日立のR-S4200D(415L)のクリスタルシルバーの当日配送は15台まで」「世田谷区方面の大型冷蔵庫の設置は、1日20件まで」といった限界が決まります。その上で、リアルタイムでネット上の「当日配送可能」表示を変えているわけです。

当日配送を全国に拡げるための300億円投資

 ヨドバシカメラはこの「無料当日配送」を武器にアマゾンに挑もうとしています。

・2015年:三重県桑名市にYAC桑名を開設予定。名古屋を中心とした東海地区への物流拠点。投資額は80億円以上
・2016年:YAC川崎を6倍に増床。在庫量は10倍に。投資額は100億円
・2018年:北海道と福岡にもYACを開設予定

2018年までの物流投資は総額300億円。目指すものは「早期にネット売上1000億円」です。そのために、家電を超えて取り扱いカテゴリーも大きく拡げています。

 2014年5月には「釣り具」4.7万品目を加えて280万品目の取扱となりました。この多品種戦略が功を奏するのかは、わかりません。しかし、ヨドバシカメラは明確に、打倒アマゾンに向かっています。

 リアル店舗と物流力に支えられた、そのネット戦略の成否を、注目したいと思います。

 わが家の冷蔵庫の故障から、こんなところまで考えた、というお話でした。

<参考資料>
「省エネ性能カタログ2013年冬版」資源エネルギー庁

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