人間が未熟なうちは、人に頼ることはできない
ひふみ投信:http://www.rheos.jp/ Twitterアカウント:twitter@fu4
藤野 悩みを自分の中に閉じ込めてしまうと、たいてい良い結果は生まれないものだから。経営のことでも、もちろん人生のことでもそう。ちょっと困ったな、というとき誰かに相談するとその場で良い意見をもらえることが多いし、解決が早まることがほとんどです。
白木 あ、たしかに! 私、まさにその通りです。経営のことで心底困って藤野さんに助けを求めると、そんなのもう何年も前に経験済み、ということが本当に多くて(笑)。そういえば、藤野さんってFacebookに個人の悩みとか葛藤を赤裸々に書かれますよね。
藤野 そうですね。たまに吐露してしまいます(笑)。
白木 その深くて重厚な内容を見ると、「私、なんて小さいことで悩んでいたんだろう」といつも反省するんです。自分なんてまだまだだな、と。でも、それで「藤野さんに比べてこんな小さい悩み、どうにかなる!」と元気になったりもして。
藤野 これは僕自身がいろいろな人や会社を見てきて確信していることなんですが、未熟なうちは、人に頼ることってなかなかできないんです。本当は未熟だからこそ頼らないといけないはずなのに、逆にできない。
白木 頼れない人の気持ち、わかる気がします。
藤野 恥ずかしい、さらけ出したくない。これは弱さなんです。そういう気持ちがあるうちは人に相談なんてできない。だから、なかなか成長できなかったり、問題がそのままになってしまったりするんですよ。人に頼る強さを持つことも大切なんです。あと、これは男女の関係に例えるとわかりやすいんだけども。
白木 男女の関係?
藤野 絶対に弱みを見せてくれないパートナーって、ちょっとつらいじゃないですか。まったく弱みを見せてくれない、一切壊れない人。人間関係においては、「頼りにされる歓び」もあるんですよね。つまり、相談したり弱みを見せたりすることがひとつの愛情表現にもなりうるということ。
白木 ああ、確かにそうかもしれません。
藤野 だから僕は、同僚や両親、先輩、上司に頼ることは大切なことだ、といつも言っているんです。頼りっぱなしは駄目だけれど、それが愛情表現にもなり得るから。もちろん、白木さんが僕にいろいろ相談したり頼ってくれるように、僕にも頼っている人がいるんですよ。
白木 藤野さんも人に頼られるんですね。私から見ると、少し意外かもしれません。
株式会社HASUNA代表取締役・チーフデザイナー。1981年鹿児島県生まれ、愛知県育ち。短大を卒業したあと、2002年ロンドン大学キングスカレッジ進学。国連インターン、投資ファンド会社を経て、2009年HASUNA設立。人、社会、自然環境に配慮したエシカルジュエリーブランドを日本で初めて手掛け、注目を浴びる。テレビや雑誌やはじめ、あらゆるメディアに出演し、そのビジネスと生き方に絶大な支持を集めている。世界経済フォーラムGSCメンバー。
藤野 いや、昔は本当に頼り下手で。「自分ならひとりで解決できるはず」と思い込んで、ただがむしゃらにやっていました。しかも、実際、ものすごく頑張ればどうにかなっちゃうことって多いじゃないですか(笑)。けれど、僕の場合、そうやって四苦八苦して解決したあとに周りの人から「僕に相談してくれればよかったのに」「どうして頼ってくれなかったんだ」って言われることが結構多かったんです。
白木 なるほど。
藤野 そのときはっとしたんですよ。「あ、頼らないことでこの人を傷つけたんだ」って。
白木 周りの人は頼ってほしいと思っているものなんですね。
藤野 そう。相談することで、ひとりで頑張るよりずっと早く、ずっと質の高い解決を得ることができる。それ以上に、よりいい関係を築くきっかけにもなり得る。これは、「頼る」ことの見逃せない効能だと思うんですよ。白木さんが僕を「チーム白木」に入れてくれたように、誰かに頼るというのはぜひ多くの方に実践してほしいことです。