「アイデアの神様の正体は『確率』。よいアイデアを思いつくには、そのための確率を上げていくしかない。だから、フレームワーク、リアプレイ、ストック、コミットメントの4つを強化する必要があるんです」(森岡氏)

 森岡氏はこのアイデア発想法について多くを明かさないが、著書の中からポイントだけ紹介しておこう。

 新しいアイデアを生み出すときは、第一に「戦略的フレームワーク」「数学的フレームワーク」「マーケティングフレームワーク」の3つのフレームワークに沿って、アイデアが満たすべき必要条件を明確にして行くという。

「戦略的フレームワーク」は、目的(達成すべき命題は何か)、戦略(必要条件を考え、経営資源を集中させるべきものは何か)、戦術(具体的にどのように実現させていくか)という順番で、アイデアの選択肢を合理的に絞って行くプロセス。「数学的フレームワーク」は、正しい目的を設定するため、ビジネスの因果関係を数学的な思考を使って論理的に分析するプロセス。そして「マーケティングフレームワーク」は、人の頭の中に強力なブランドを構築するための勝ちパターンを分析するプロセスだ。

 第二に、考えるべきアイデアの必要条件が明確になったら、過去に似たような課題に直面したケースがあるかなど、世界中からアイデアを探す(リアプライ)。第三に、アイデアにまつわる文脈を知るために、日頃から豊かな情報を蓄積しておく(ストック)。そして第四に、やり抜く覚悟や決意を持ち、よいアイデアを思いつくまで考え抜く(コミットメント)。これらがアイデア発想の4本柱だ。

実は左脳人間ならではの発想法?
神のアイデアの正体は「確率」だった

 確かに森岡氏の取り組みは、こうした発想法に沿って行われている。たとえば「フレームワーク」だが、「戦略的フレームワーク」の思考プロセスを例にとると、「目的」を1000万人レベルの安定的な集客の達成に定めたら、そのための「戦略」を小さな子連れファミリーの獲得と定義し、そのための「戦術」をユニバーサル・ワンダーランドの建設にする、といった流れで体系的に考え、焦点の絞り込みに成功している。

 また「リアプライ」については、もともとユニバーサル・オーランドで先行していた4K3D映像の「スパイダーマン・ザ・ライド」や「ハリーポッターテーマパーク」を見て、そのアイデアを拝借することで、仕掛かりスピードと成功確率の向上を実現した。