岸見 そんな調和をとらなくても大丈夫。人に合わせてしまうと、自分の人生を生きられなくなります。何度も言いますが、小林さんが「自分の普通」を生きた結果、妬む人が出てきても、それは小林さんの課題ではなく相手の課題です。だから、自分の人生、自分の普通を生きればいい。それが「自由に生きている」という証拠なのです。

「人との調和を気にしてしまう」という小林さんに、岸見氏は「自分の人生、自分の普通を生きればいい。それが自由に生きているという証拠」とアドバイス。

小林 そう思って少しずつ始めているんですが、すぐ元に戻ってしまうんです。

岸見 大丈夫です。らせん階段のようなものですから。元の場所に戻ってしまったと思っても、少しずつ上に登っているものです。

小林 ありがとうございます。少し光が見えてきました。「自分の普通を生きることが、自分らしく生きること」。そう信じることで、この先もなんとかなると思えてきました。

岸見 カウンセリングのときは、相談にこられた方に「なんとかなる」と思って帰ってほしいと思っています。なんとかなると思っている地点ではまだなにも起こっていないかもしれませんが、なんとかなると思えるのと、なんともならないと思うのとでは雲泥の差ですよね。そして、最後には人任せではなく、「私がなんとかする」と思えるようになってほしい。そう思えた瞬間、以後の人生が変わっていくのです。出る杭は打たれますが、出過ぎた杭は打たれることはありません。これからも頑張ってください。応援しています!

古賀 本日は本当にありがとうございました。僕も応援しています!

小林 こちらこそ本当にありがとうございました。

(終わり)


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岸見一郎/古賀史健著
嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え

【内容紹介】

岸見一郎/古賀史健 著、定価(本体1500円+税)、46判並製、296ページ、ISBN:978-4-478-02581-9

 世界的にはフロイト、ユングと並ぶ心理学界の三大巨匠とされながら、日本国内では無名に近い存在のアルフレッド・アドラー。

「トラウマ」の存在を否定したうえで、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、対人関係を改善していくための具体的な方策を提示していくアドラー心理学は、現代の日本にこそ必要な思想だと思われます。

 本書では平易かつドラマチックにアドラーの教えを伝えるため、哲学者と青年の対話篇形式によってその思想を解き明かしていきます。

【本書の主な目次】
第1夜 トラウマを否定せよ
第2夜 すべての悩みは対人関係
第3夜 他者の課題を切り捨てる
第4夜 世界の中心はどこにあるか

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