4年ぶり半期減少となった
新設住宅着工戸数の衝撃!

 7月31日、住宅不動産業界に衝撃が走った。新設住宅着工戸数の2014年上期(1~6月)の数字が、4年ぶりに前年同時期比3.4%減と予想を大きく下回ったのだ。

 新築マンションと注文住宅の販売に、大きなブレーキがかかっていることは誰の目にも明らかだ。アベノミクスにおいて、数少ない実需を牽引してきた住宅市場だが、先行きが不透明だ。

 筆者は本連載の趣旨で掲げているように、子どもが独立や高齢となった両親の介護や看病、自身の働き方を変えたことによる収入の変化、周辺の住居環境の変化など、家族や収入に関するさまざまな変化によって、住まいも柔軟に変えるのが、これからの賢い生活者の姿だろうと考えている。住宅の買い替え、リフォーム、現在住んでいる住宅を賃貸し、手頃なサイズの賃貸住宅に住むという選択肢だってありえるだろう。

 そんな生活者のことを考えている筆者にとって、今回のような新設住宅着工戸数の大きな落ち込みは、敏感に反応せざるを得ない。とっさに頭に浮かんだのは、「住み替えるために、今、買い時なんだろうか?」であった。

 価格は上がっているが、そろそろ天井なのだろうか。住宅着工戸数が減少しているということは、価格はどうなっていくのか。そもそも、良い物件は供給されるのかー—?

 思い返してみると、ちょうど昨年の同じ日、筆者は福岡で不動産市況について解説する講演で、前年同期を大きく上回る着工数の速報について述べて、会場内から驚きの声が沸き起こっていた。しかし、わずか1年でまったく正反対の状況になっている。