シンプルなやり方で
コミュニケーションが図れる

 5人は、実際に人事担当者とやりとりをした手紙を見せてくれました。

 それぞれが書いた文章の下にコメント欄があり、そこにびっしりとコメントが書かれていました。

 ざっと読んでみると、ヤマダくんが言うように、その文面はすべて違う内容でした。

 つまり、それぞれが書いた文章の内容に応じて、その回答になるようなコメントが書かれているのです。

 8人の内定者に、それぞれ違う内容の文章を、おそらくは考え抜いて書くという作業は、相当のエネルギーが必要でしょう。それを担当者は、半年にわたって毎月書いて送ったのです。

 これはわずか1社の事例に過ぎないかもしれませんが、内定者フォローの最良のエッセンスが内包されている事例のように感じます。

 つまり、

・人事担当者が会社の先輩としてコミュニケーションを図っている
・コメントを通して熱意を感じさせている
・その熱意が社風を象徴するものと理解されている
・こういう社員がいる会社で働きたい、と思わせることに成功している

 内定者フォローとは、ややこしくて面倒なことをしなければならないもの、ともし考えているなら、それは違います。ごくシンプルなやり方でコミュニケーションが図れるのです。

 もちろん、毎月8人の内定者に異なる文章を書くのは、簡単ではないでしょうし、面倒ではあるかもしれません。

 でも、その効果は絶大です。

 内定者が、内定者フォローによってその会社で働く意思を固めることがある。

 A社の事例が、そのことを教えてくれています。

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